1Dエンジンモデルによるシミュレーションチューニングの可能性を探索

“M”では、お気に入りの愛車を軸に、その持てるポテンシャルをどこまで引き出せるのか。

また、当時のエンジニアですら想定してなかったポテンシャルがあるのか。

その探索に挑戦しています。

このサイト内のコンテンツで、OpenWAMを使用したシミュレーションチューニングの研究取り組んでいることは仄めかしていました。

数年の探求期間を経てようやくアプリとして機能するところまでもってこれたので、プロトタイプをお披露目しようと思います。

シミュレーターの現在地

シミュレーターの目的は、E46M3 CSLコンバート車両の、最適VANOSマップの自動探索です。

指標は、シリンダーに供給される充填効率(VE)です。

シミュレーターは、最大VEまたはスムーズな運転フィーリングを得るVEを得るVANOS角を自動探索し提案するものです。

この探索は、部分負荷および最大負荷(WOT)それぞれにおいて行えるようになっています。

※なぜVEを指標にしているかは、“M”appingのコンテンツをご覧ください。

アプリの状態は、必要機能は実装され、シミュレーションは完走するけど、シミュレーション精度は実用に耐えうるかどうかこれから評価する段階です。

なぜ公開するかというと、時間のかかったちっとも面白くないバグ取り作業をクリアでき、あとはパラメータを変えてシミュレーション結果を見ながら精度を高める試行錯誤を楽しめる状態にできたからです。この作業は一番面白くて旨味の乗っている状態なので、これは提供する価値があるだろうと思ってのことです。

主な機能

主な機能は4つです。それぞれの機能を解説していきます。

VANOSテーブル探索

E46M3(MSS54HPCSL)のVANOSテーブルに基づき、VEが最大またはなだらかなカーブを描くようにVANOS角度の自動探索を行います。つまりオーバーラップを自動調整し、480ポイントのVE変化をモニタリングし最適なVANOS角を自動探索する機能です。

VEキャリブレーション

アプリ上で設定されたトポロジー(物理モデル)とVANOSテーブル値を元に、480ポイントのVEシミュレーションを行い、DMEのVEテーブル(=実態VEと仮定)の差分を明らかにします。絶対VEの差分をみるのではなく、VEカーブが実態VEに追従しているかを主に見ています。ですので、形状相関を見て95ならVANOSテーブル探索に進めるようにしています。形状相関が基準を越えない場合、トポロジーモデルの編集をユーザー自身で行います。

トポロジー(物理モデル)の編集

トポロジーの編集とは、吸排気ポートのサイズや吸気ランナー、スロットル形状、エキマニ、フロントパイプ、センターパイプ、マフラーなどのサイズを変更することです。

VEはシリンダーに入る空気の充填量です。シリンダーに近いトポロジーほどわずかな変更で、VEに大きな影響を与えます。

現在デフォルトで設定されているトポロジーは、僕が適当にいれた仮値です。実測が面倒だったので、こんなもんだろうと適当に設定したあと、開発中にAIによってシミュレーションが走るように適宜調整してもらった値が入っています。(これから実測していきます。)

シミュレーション結果のダウンロード

シミュレーション結果が納得のいくものになったら、VANOSテーブルの値をダウンロードできます。

CSVでダウンロードできるので、シミュレーション結果を試したい場合はTunerProなどでBINを編集してください。

何れ、 https://mss54hp-csl-convert-tuner.tsunagi.app/ に統合する予定です。

使い方

https://github.com/mushitaro/OpenWAM

GitHubリポジトリをご自身のアカウントにフォークしたあと、ローカルへプルしてください。

シミュレーションをやってみたい場合、claude Codeでローカルリポジトリを読み取り、プロンプトでご自身のお車のトポロジー寸法を適度に記述し、シミュレーション実行を指示してみてください。

自動でシミュレーションを行ったあと、アプリのUI上で結果を確認することができます。

動作要件(目安)

僕が開発で使用しているPCを目安にしてください。

主な計算リソースはCPUとメモリです。

CPU:intel CORE ULTRA9 16スレッド(12スレッド使用)
メモリ:32GB(20GB使用)

VEキャリブレーションで2時間程度

探索で2時間程度の時間を要します。(現在WOTのみ)

後記

シミュレーションロジックは、OpenWAMというスペインの自動車工学研究所が公開してくれていたものです。

開発の大部分は、シミュレーションの根幹である物理ロジックのバグを取り除くことと、現代技術によるロジックの堅牢性と計算速度の改善でした。

地味で根気のいる作業だったので、よっぽどの物好きか、情熱がないと無理だったと思います。(←自分で言うか)数年かけてやっと改善できました。(もちろんAIの力を借りました。AIがいなかったら数十年かかっていたと思います。)

現実的に使えるようになるには、まだまだ研究開発が必要ですが、以前なら数千万円はかかってしまいそうな開発が、こうして個人で行えてしまうなんてすごいですね。

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