R56系MINIクーパーS触媒エラー無効化レポート
サブスクオーナーさんのR59 MINIで、触媒交換後に出るお決まりのP0420エラーをどう消すか悩んでたんですが、ChatGPT-4o miniに相談してみたら、なかなか本質的なリサーチ結果が返ってきたのでメモ代わりに記事化しました。DTCテーブルの構造から、エミュレーションとサプレッションの違い、WinOLSやKESSv2での具体的な対応まで、想像以上に参考になりました。
サブスク契約いただいているオーナーさんの所有するR59 MINIロードスターについて、触媒交換後に出るあるあるのエラー対応に困っていました。
話を伺って、ざっとChat GPTo4-miniにリサーチしてもらった結果がなかなか良かったので、メモとして残しておきます。
プロンプト
R56系クーパーSのキャタライザ異常警告を、DME書き換えによってオフにする方法を教えて下さい。方法は、DMEパラメータのアドレスと、値の修正値を回答して下さい。さらに、パワーセーブなどの影響がないかどうかも教えて下さい。これらの回答で参照した情報ソースも提示して下さい。
※この後ChatGPTからいくつか質問がありましたが、そのやりとりは省略します。
以下出力結果です。
年式別DME(ECU)の型番と特徴
R56系MINIクーパーSでは、搭載エンジンの年式により使用されるDME (ECU) が異なります。以下に年式・エンジンごとのDME型番をまとめます。
2007~2010年(前期型R56 Cooper S) – エンジン: N14B16A (ターボ直噴エンジン, 175hp相当)。DME:Siemens/Bosch MED17.2型(エンジンマネジメント)new.minimania.com。このECUはトライコア(Microtronik)プロセッサを搭載し、触媒やO2センサーの監視機能を持ちます。
2011~2013年(後期型R56 Cooper S LCI) – エンジン: N18B16M0 (ターボ直噴改良型, 181hp相当)。DME:Siemens/Bosch MEVD17.2.2型new.minimania.com。N18エンジンでは可変バルブタイミング(ダブルVANOSとバルブトロニック)が追加され、それに対応したDMEソフトウェアとなっています。2012年以降の一部モデル(JCW GPやクロスオーバー(R60)等、同系N18エンジン搭載車)では MEVD17.2.7 型番へのアップデートが見られ、基本構造はMEVD17.2.2と同系列ですbosch-repair-service.comalientech-tools.com。
上記より、R56クーパーS系ではN14エンジンにMED17.2系DME、N18エンジンにMEVD17.2.2/17.2.7系DMEが採用されています。それぞれBosch社製のMED17プラットフォームで、DTCコードやOBDモニタの管理ロジックを内蔵しています。
補足: 「MED17.x」と「MEVD17.x」の“D”は直噴(Direct injection)対応を示すとも言われ、N18のDME名に付加されています。ハードウェア的にはSiemens VDO(現Continental)系統ですがBosch MED17ファミリーとして分類されます。
ECUチューニングに使用されるソフトウェア・機材
触媒効率異常 (DTCコードP0420) を無効化するには、専用のチューニング機材とソフトウェアを用いてDMEのプログラム(キャリブレーションデータ)を書き換える必要があります。主なツールとソフトは以下の通りです。
ECU読み書きツール: Alientech社の KESSv2 や K-TAG、FGTech Galletto などが広く使用されています。KESSv2は対応プロトコルが実装されており、R56のN14搭載Bosch MED17.2はOBD経由で読み書き可能です(プロトコル206)northamericanmotoring.com。ただし、**DTCテーブル等を含む「フルリード」**にはK-TAGなどを用いたブートモードでの読出しが推奨されますnorthamericanmotoring.comyoutube.com。実際、KESSv2によるOBDリードでは一部データ領域が読まれない場合があり、触媒監視の無効化に必要なDTCマップが欠落する可能性がありますyoutube.com。
マップ編集ソフト: WinOLS (EVC社) が代表的で、ECU内部の16進データからマップを解析・編集するのに用いられます。WinOLS用のDAMOS/マップパックが入手できれば、DTCスイッチの所在や値を視覚的に確認できます。市販の簡易ツールとして ECM Titanium (Alientech社) もありますが、対応ドライバがある場合に限られます。高度な自動DTC無効化ソフトとして Swiftec や DaVinci なども存在しますが、ここでは手動での変更方法に着目します。
最新ソリューション: MagicMotorsport社のプラットフォームでは、BMW/MINIのMEVD17.x系ECUに対し、StageXソフト上での自動DTC除去アルゴリズムを提供していますmagicmotorsport.com。2025年現在、MEVD17.2/17.2.3/17.2.4/17.2.5といったECUのDTC削除に対応し、触媒関連コードもワンクリックで無効化可能ですmagicmotorsport.com。もっとも、これらは有償のプロ向けサービスであり、原理理解にはWinOLS等での手動解析が有用です。
以上のように、KESSv2+WinOLSといった組み合わせが一般的ですが、安全性の観点から**ベンチモード(ECU取り外し)**でのフルバックアップ取得と編集を行うのが望まれますnorthamericanmotoring.com。書き換え後は同じツールでECUへ書込を行い、DTC無効化を反映させます。
DME内部のDTCマップ構造とP0420無効化の具体的方法
現行のBosch MED17系ECUでは、Diagnostic Trouble Code (DTC)ごとにエラー検出の条件やMIL(警告灯)点灯要否を制御するDTCマップ/テーブルがキャリブレーションデータ内に存在します。P0420(触媒効率低下)を無効化するには、このテーブル上で該当コードの設定値を変更する必要があります。具体的な手順と変更内容の例を示します。
DTCコードの検索とテーブル位置の特定: ECUのフルダンプデータ(BINファイル)内で、対象のDTCコード番号を検索します。MED17系ではDTCコードは16ビット数値で格納されており、たとえばP0420は16進数で0x0420に対応します。Little Endian形式でメモリ上に記録されるため、バイナリ上では
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の並びで出現します。実際のMini R56 MED17.2のファイルでは0x25B0C付近にエラーコードのリストが開始しているとの報告がありますecuconnections.com。そこからP0420に相当するエントリを見つけ、そのコードに対応するスイッチ値の所在を割り出します。Bosch ECUでは通常、DTCコードの配列と並行して同数のフラグ(1バイト値)配列が存在し、各コードの動作モード(MIL点灯有無・記録有無)を決定していますecuconnections.com。変更すべき値とその意味: 各DTCのフラグ値(DTCスイッチ)は「エラー発生時の動作」をビット単位で示すものと推測されます。例えば「エラー検出時にMIL点灯」「エラー履歴を記録する」「エラー発生を無視する」といった区分です。具体的な値は非公開情報ですが、実践的には該当DTCのフラグを“無効”状態に書き換えることで警告を消すことができます。ある事例では、フォード車のMED17でP0420のDTCスイッチを変更した結果、「コード自体はメモリに残るが警告灯は点灯しなくなった」と報告されていますmhhauto.com。これはMIL点灯ビットのみをオフにした状態と考えられ、車両のOBDモニタ上は触媒効率テストが実行・失敗しても警告灯が出ないようになります。さらに踏み込んで完全にDTCを無効化(コードを出力しない)することも可能で、その場合はフラグ値を0x00や0xFF(実装による)に設定し、「DTCを検出しない」状態にします。どの値が適切かはECUごとに異なりますが、一般に0に近い値が機能OFFを意味するケースが多いですecuconnections.com。WinOLS上で定義ファイルがある場合、例えば「P0420 – Error Class: 0x01 → 0x00」のように記述されるでしょう。
具体的なアドレスと変更例: R56 N14 (MED17.2) ECUの実データ例として、前述の0x25B0C付近からPコードが並んでいる場合、P0420に当たる
0x0420
のエントリを確認します。その直前後に配置されている1バイトのフラグ値を読み取り、それを書き換えます。例えばその値が0x08
(MIL点灯あり+エラー記録)だった場合、0x00
に変更してDTCを完全無効化、あるいは**0x02
**など別の値に変更して「記録するがMILは点灯しない」動作に変更します。残念ながら公開情報だけでは正確なアドレスとビット定義まで示された資料は少ないため、ECUチューニングフォーラムで共有されるマップアドレスを参照するか、実際にDTC OFF済みファイルとの差分を解析する手法が取られています。海外のECU解析フォーラムでは有志が「エラーコードリスト開始アドレス: 0x25B0Cだがテーブルの開始がわからない、触媒効率コードをOFFにしたい」といった議論をしておりecuconnections.com、同様のアプローチでアドレスを割り出せることが示唆されています。
以上の手順により、DME内部のDTCスイッチを編集してP0420の検出を抑制できます。重要なのは、必ずフルデータを用意して編集する点と、変更後にチェックサム修正(WinOLSにはプラグイン機能あり)を行い、ECUに正しく書き戻すことです。書き換え後はテスターや汎用OBDスキャナでP0420が発生しなくなったこと(あるいは出てもMILが点かないこと)を確認します。
DTC無効化とモニタ「エミュレーション」手法の比較
触媒効率エラー対策には、大きく分けて DTCそのものを無効化する方法(サプレッション) と、エンジンECUに「正常な触媒が動作している」と思わせる エミュレーション(欺瞞) 手法があります。それぞれの考え方と具体例を解説します。
DTCサプレッション(コード無効化): 前述のように、DME内の設定を変更してP0420コードが発生してもMILを点灯させない/コードを記録させないようにする方法です。ソフトウェア上で触媒診断機能をOFFにするイメージで、根本的にはECUがP0420を「報告しない」状態にします。メリットは、純粋にソフト改変のみで完結するため追加ハードウェアが不要であり、エラーコードも残らなくできる点です。デメリットとして、OBD-II上は触媒監視自体が**「未サポート」あるいは「未完了」状態になる場合がある**ことが挙げられますcartechnology.co.uk。実例では、あるチューナーがP0420だけをOFFにしたところ、OBDの触媒モニタ項目自体が動作しなくなってしまったケースがありますcartechnology.co.uk。これはECU側で「触媒効率チェック試験」を無効化したため、車載自己診断上その項目が完了せず、車両によっては車検時にOBDレディネス不完全とみなされる可能性があります(地域の検査基準による)。
エミュレーション/O2モニタ欺瞞: こちらはECUにエラーを出させないよう偽装する方法です。ハード的には、二次O2センサー(触媒後方の酸素センサー)にスペーサーを噛ませて排ガス流入量を減らし、触媒効率低下を検知させにくくするといった古典的手法があります(いわゆる「O2センサー・エクステンダー」や「ミニ触媒」の装着)。ソフト的には、ECUの閾値を変更して触媒性能が低下しても許容範囲内と判定させる手法が考えられます。例えば、触媒効率判定に用いる前後O2センサー波形の相関しきい値を下げる(またはゼロに近づける)ことで、実際には効率が落ちていてもECU上は「正常」と判定させることが可能です。これにより、触媒モニタは動作するが常にテストをパスする状態を作り出せます。結果としてP0420が発生せず、OBDレディネスも「完了」になります。もっとも、このような微調整はDAMOS等詳細なチューニング情報が無いと困難であり、下手に変更すると他の混合気補正に影響する恐れがあります。
なお、市販ECUチューンでは二次O2センサー自体を無効化するケースもあります(たとえば排気系をフルストレートに変更する競技車両向けに後方O2センサフィードバックを停止する等)。しかしMINIのMED17系では二次O2センサーを完全にOFFにすると関連DTC(P0136などO2センサー回路異常)が発生するため、単純にセンサー信号を切るのではなくP0420/P0136といった関連DTCも合わせて無効化する必要があります。この場合も結局DTCサプレッションの手法とセットになります。
どちらの方法にも一長一短があるため、実運用上は「エラーコードは消したいがOBDモニタは完了させたい」というニーズに合わせ、MILのみ消す設定(エラー自体は内部で検出・記録はするが警告灯は点灯しない)にすることが多いようですmhhauto.com。この設定であれば、触媒効率テスト自体はECUが実行し、結果が規定値以下ならDTCはメモリに残るものの警告灯は点灯せず、OBD上もモニタ完了=NG結果でもMIL非点灯という状態になります。もっとも、車両診断機にかければ「過去に触媒効率低下あり(現在異常なし)」等の履歴コードは検出されるので、本質的な不具合解決ではない点に留意が必要です。
書き換えによる影響・副作用と注意点
ECUを書き換えて触媒劣化診断をOFFにする行為には、いくつかの副次的な影響や注意点があります。
エンジン出力・燃費への影響: 基本的にP0420は排出ガスに関する診断コードであり、点灯していてもエンジンのパフォーマンスを直接的にリミットするものではありません。そのため、コードを無効化しても馬力やトルク、燃費に大きな変化は生じないと考えられます。エンジンECUは触媒効率低下を検知しても燃料噴射や過給圧を即座に制限するような制御は行いません(スロットル閉鎖やブーストカットが起こるのは主にノックやカム角異常時などですminkara.carview.co.jp)。ただし、極端に触媒が目詰まりして排気抵抗が上がった場合は別問題で、その際はエンジン出力低下や燃費悪化が物理的に起こりますが、これはDTCの有無と関係なく発生します。
パワーセーブモード(リンプモード)回避: 上述の通り、P0420自体は**エンジン保護のリンプモード(安全運転モード)**を引き起こしません。従って無効化によって本来のリンプモードを避ける効果も特にありません。ただし、他の重要なDTC(例えば過給圧制御異常やカムセンサー異常など)はエンジン出力を制限する設計になっていますminkara.carview.co.jp。そうしたコードまで安易に無効化すると、不調に気付かずエンジンダメージを拡大させるリスクがあるため、必要最小限のDTCのみ無効化するのが鉄則です。
OBD検査・車検適合性: 排気系改造車両でチェックランプを消す目的でDTC書き換えを行うケースが多いですが、法的には排ガス関連のOBD改変は認められていない点に注意が必要です。日本の車検では近年OBD-II診断が導入されており、「故障コードが現在未検出であること」「OBDモニタが所定数完了していること」が求められます。DTC無効化の方法によってはモニタが未完了扱いとなる場合や、極端な場合**ECU内部に故障コードが蓄積している(MILは消えているがコードはメモリ上「存在」している)**状態だと検査員に検知される可能性もあります。検査機は基本的に現在のMIL点灯有無とレディネスしか見ませんが、車種によっては車両スキャンを行う場合もあるため、整備記録として完全にコードを残さない方が望ましいでしょう。
エンジン保護機能への影響: 触媒温度が上がり過ぎるとECUは燃料を濃くして冷却したりエンジン出力を絞る制御(触媒保護)を行いますが、これは触媒効率のDTC検知とは別系統の触媒温度モデルで制御されています。P0420を書き換えても触媒過熱保護ロジック自体は生きているため、触媒を撤去した場合は逆にそうした保護噴射が無駄に働く可能性があります。チューニングの現場では、同時に触媒温度ターゲットを上方修正したり、二次O2のヒーター異常検知をOFFにするなど包括的な調整が行われます。このように、副作用を最小化するには関連する他のマップも含めたチューニングが必要です。
まとめると、適切にDTC無効化を書き換えれば日常走行でのデメリットはほぼありませんが、OBD適合や本来の診断機能低下といった点に留意すべきです。エンジンチェックランプが点灯しなくなることで、他の問題を見逃すリスクもゼロではないため、定期的な診断スキャンやメンテナンスは引き続き重要です。
実際の事例・参考情報源
今回の調査にあたり、海外のECUチューニングフォーラムや専門サイトから信頼性の高い情報を収集しました。その一部を紹介します。
フォーラムでの議論: ECU Connectionsフォーラムでは、Mini R56 Cooper SのMED17系ECUで「触媒効率コードのリスト開始アドレスは0x25B0Cだがスイッチテーブルの場所が分からない」といった話題があり、内部構造の解析情報が共有されていますecuconnections.com。CarTechnoloGYフォーラムでは、P0420をオフにした際に触媒モニタが未完了になってしまった問題に対し、修正ファイルのやり取りが行われていますcartechnology.co.uk。またMHH AUTOでは「MILは消えるがコードはメモリに残る」調整を行った事例報告があり、DTCフラグ操作の実例と言えますmhhauto.com。
技術ドキュメント: MiniManiaの技術比較記事ではN14とN18エンジンのDME型番(N14はMED17.2、N18はMEVD17.2.2)が明記されており、本報告の基礎情報としましたnew.minimania.comnew.minimania.com。またBoschリペアサービスのデータやAlientech社の資料から、後期モデルでMEVD17.2.7が用いられていることも確認していますbosch-repair-service.com。
実車テスト: 北米のMINIチューナーの発言として、**「純正KESS V2でN14のMED17.2をOBD読込・書込可能(プロトコル206)」**とのコメントがNAMフォーラムで見られ、実際にKESSでの読み出し成功事例がありますnorthamericanmotoring.com。他方、「最新版K-SuiteではBMW EシリーズやR系MINIをOBD対応した」とのアナウンスもあり、年々ツール側の対応が進んでいます。書き換えの際は必ずバッテリー安定化電源を使用し、万一に備えてフルバックアップを取得しておくことが強調されています。
プロチューナーのソリューション: MagicMotorsport社の公式サイトでは、2025年のStageXアップデート情報としてMEVD17.2系(BMW & MINI)のDTCリムーバル機能をリリースしたことが報告されていますmagicmotorsport.com。これにより専門家は短時間で触媒DTCを無効化できますが、本報告ではその裏側にある原理(マップ上のフラグ操作)について考察しました。
最後に、触媒効率エラーの無効化はあくまで競技用途やカスタム車両向けのテクニックであり、公道走行車での適用は自己責任となります。エンジンチェックランプは本来、車両の異常を知らせる重要な機能です。本稿の情報を活用する際は、法規制と車両の安全性を十分考慮してください。
【参考資料】:
MINI N14/N18エンジン搭載DME仕様(MiniMania技術記事)new.minimania.comnew.minimania.com
Bosch MED17系ECUのDTCテーブル解析手法(ECU Connectionsフォーラム)ecuconnections.comecuconnections.com
DTC無効化によるOBDモニタへの影響報告(CarTechnoloGYフォーラム)cartechnology.co.uk
KESSv2によるR56 ECU読み書き事例(NAMフォーラム)northamericanmotoring.com
MHH AUTOフォーラム – フォードFocus MED17でのP0420 MIL消去報告mhhauto.com
MagicMotorsport StageXアップデート – MEVD17.2 DTCリムーバルmagicmotorsport.com
みんカラ整備手帳 – MINI故障コードとエンジン保護の関係例minkara.carview.co.jp以上.