E46 M3 全世界で人気のDME書き換えメニューを簡単かつ安価にできるツール
2025/2/24更新
E46M3のSMGⅡCSLプログラミングや速度リミッター解除、コールドスタートデリート、電子スロットル開度調整、触媒保護制御のオフ、6MTシフトライトオンなど、全世界で人気のあるDME書き換えを、手軽かつ安価にDIYで出来るのがECUWORXツールです。
さらに、通常のM3にCSLスタイルカーボンエアボックス(サージタンク)を取り付ける際に必要な書き換えや、SMGⅡからMTにコンバートした時の書き換えにも対応しています。 ※1300〜4000rpmの領域はリセッティングが必要です。
イギリス在住のマーティンさんによって開発された素晴らしいソフトです。
しかし、オリジナルサイトやツールを一見すると、これは何のためのメニューなんだろう?と分からないことがあります。
なので用途に分けてまとめ直してみました。この記事がみなさんの理解を助け、DIYがしやすくなると嬉しいです。
公式ページの説明はこちら
目次
- コーディングとの違い
- SMGⅡチューニング
- SMGⅡ→MTコンバート
- CSLスタイルカーボンエアボックス化
- MTチューン
-
共通
- スポーツモードメモリー設定
- Dynoレブリミッター変更
- レブリミッター変更
- スピードリミッター解除
- ウォームアップライトの再キャリブレーション
- SAP動作(コールドスタート時のキャタライザー加熱制御)を無効
- SAP DTC無効(SAPを撤去した場合)
- EWS削除+EWS改ざんDTC削除
- キャタライザープロテクションを無効(エンリッチメントを無効にする)
- キャタライザープロテクション作動温度変更(EGT)
- EGTモニタリングを無効
- リアO2DTCを無効
- リアO2DTCを無効(ラムダセンサーを取り外した場合)
- 「105」DTCを無効
- スロットル調整(コンフォート/スポーツ)
- ECUWORXによるアフターファイア
- BuildJournalによるアフターファイア
- パワーアップチューン(別料金£275)
- 用語集
- 使い方
- CSLスタイルカーボンエアボックスチューニングDIYサポート
コーディングとの違い
デイライトやキーロックハザード点灯などのユーティリティ関係の変更は、コーディングと呼ばれていますね。
これらのメニューはDMEではなく、各機能が実行されるそれぞれのコンピュータ(モジュール)を書き換えることで実現できます。モジュールを書き換えるのがコーディングと呼ばれ、NCS Expertという無料ツールやCarly(有料)で行えます。
ECUWORXが提供するのは、DMEの書き換えです。
従来はDME書き換えは、クルマから吸い出したパラメータシート(16進数で書かれた数値の羅列:バイナリと呼ばれる)を、手作業で変更する必要がありました。
これには相当な勉強と作業の必要があり、DIYのハードルをものすごく上げていました。
これがECUWORXツールによって、簡単にできるようになりました。
利用料金は自分のクルマ一台だけだと£20です。
一度ライセンスを購入すれば、何回でもオプションの変更ができます。
また、複数の車両をコーディングしたい人向けに、無制限ライセンス(£150)も用意されています。
以下、メニューです。
SMGⅡチューン
CSL SMGシフティング/レブマッチング
標準M3に、CSLと同じシフトパラメーターおよび回転マッチングパラメーターを適用します。このオプションを適用した後、CSLと同様に高速でギアチェンジし、シフトダウン時にブリッピングさせます。
SMG慣性アップデート
クラッチのクランプ力を増加させ、SMGの「クラッチスラー(滑り)」を低減します。車両によっては、CSL SMGシフティング/レブマッチングオプションを適用すると3000rpm前後でクラッチが滑る現象が確認されています。(僕はこの現象が起きました。)この現象を低減するオプションです。(完全には取り除けません。)
SMGファイナルドライブスワップ
SMG車で、ファイナルギア比(ディファレンシャルレシオ)を変更した場合、次のオプションのいずれかの変更が必要です。これにより、「オートマモード」のときに正しいシフトが可能になります。
- 3.62:1の比率(デフォルト)
- 3.91:1の比率
- 4.10:1の比率
SMGⅡ→MTコンバート
トランスミッションスワップ
SMG↔︎MTのコンバートをしたときにこのオプションが必要です。
CSLスタイルカーボンエアボックス化
IATセンサーの再スケール(CSL DMEにコンバート)
おそらく、CSLの純正IAT(吸気温度)センサーを使用せず標準M3のIATセンサーを流用する場合にこのオプションを選択する必要があります。
MAPセンサースワップ(CSL DMEにコンバート)
MAP(マニホールド圧力)センサーをCSL純正ではなく社外品にする場合、このオプションの選択が必要です。MAPセンサーは、ボッシュのCSL OEMセンサーと1barのGMセンサー(汎用)にする方法がよく知られているようです。後者のGMセンサーの方が安いらしいのですが、配線やセンサーを装着するエアレールを個別に調達しなければならず面倒なようです。CSL OEMセンサーを用いたカッセルパフォーマンスのMAP変換キットが良い選択肢だと思ってます。
CSLインテークフラップDTCを無効(CSL DMEにコンバート)
CSLの吸気フラップとモーターを使用しない場合は、このオプションを選択します。このオプションを選択すると、エンジンチェックランプが点灯しなくなります。カーボンサージタンクに交換する場合、フラップのついていないものが多いと思います。
クルーズコントロールを有効(CSL / CSL DMEにコンバート)
CSL DMEはクルーズコントロールがOFFになっています。このオプションを選択するとクルーズコントロールを復活させることができます。CSLの場合、クルーズコントロールボタンをどこかに追加すれば、これをONにすることでクルーズコントロールが可能になります。
Alpha-N / MAF(エアフロ)削除を有効(試験的)
エアフロ(MAF)による負荷計算制御から、スロットル開度による負荷計算制御(Alpha-N)に切り替えます。BMWのエンジン制御は一般的には負荷とエンジン回転数によって燃料噴射量や点火タイミングなどが設定されています。Alpha-Nの本来の用途はMAFセンサーが壊れてしまったとき、とりあえず修理工場まで走れるようにするためのエマージェンシーMAPです。
カーボンサージタンクを取り付けた後、チューナーさんまでドライブしたい場合の一時的なオプションです。カーボンサージタンクに交換した後、標準M3のMAPのままでAlpha-N制御にするとアイドリングすらまともに動きませんので、本当に一時的なオプションです。
「151」 DTCを無効にする(CSL DMEコンバート)
通常のM3にCSL DMEを適用した時に立つフラグ「151」DTCを無効にします。(確かインジェクター不一致エラーだったような?...)
CSLインテークフラップコントロール(CSL / CSL DMEコンバート)
CSLの「スポーツ」モードと「コンフォート」モードで吸気フラップが開閉するRPMを変更できます。通常M3でもCSL DMEにコンバートすればCSLフラップが使用できますので、その場合この調整が可能になります。
MTチューン
6MTシフトライト設定
この機能により、SMGスタイルのシフトライトをMTのE46M3で点灯させる事ができます。使用可能なオプションは次のとおりです。
- 無効
- 有効(常にアクティブ)
- スポーツモードで有効
共通
スポーツモードメモリー設定
この機能により、「スポーツ」ボタンの動作を変更できます。使用可能なオプションは次の通りです。
- ボタンを押すことによるスポーツモード(デフォルト)
- スポーツモードは常にオン
- コンフォートモードは常にオン
- DSCボタンを押すと同時にオン(DSCオフ)
- スポーツモードメモリー(車の電源がオフになったときの最後の設定を保持)
Dynoレブリミッター解除
シャシダイナモでパワーチェックするときDyno modeにする必要があるらしいのですが、6300RPMの回転数制限されています。このオプションはこの制限を取り除きシャシダイナモでパワー計測できるようにします。これは、レブリミットと同じ値に設定することがお勧めされています。
レブリミッター変更
レブリミットを任意に調整できます。E46M3のデフォルトレブリミットは8000RPMです。8200RPMを超えることはお勧めされていません。
スピードリミッター解除
250km/hのスピードリミッターを解除します。
ウォームアップライトの再キャリブレーション
E46M3のタコメーターを囲む「ウォームアップ」ライトを任意に変更できます。
SAP動作(キャタライザー加熱シーケンス)を無効
コールドスタートの際、SAP(セカンダリエアポンプ)の動作を無効にします。通常はかなりアイドリングがハンチングし騒音が気になるかと思いますが、これが安定化し多少静かになります。コールドスタートデリートと呼ばれているものに相当します。
SAP DTCを無効(SAPハードウェアの撤去)
SAP(セカンダリエアポンプ)を車両から物理的に取り外した場合にこのオプションを選択する必要があります。
EWS削除+EWS改ざんDTC削除
DMEをコンバートした場合、そのままだとエンジンが始動しません。このオプションをONにするか、VINをTool32などで自分のものに書き換えるとエンジンがかかるようになります。その他、トラブルでDMEを交換したり、何かしらの理由で他車のDMEを使いたい場合、このオプションが必要になります。
キャタライザープロテクション作動温度変更(EGT)
キャタライザー(触媒)保護制御が作動する温度を変更できます。*触媒保護制御を無効にするオプションもあります。
キャタライザープロテクションを無効(エンリッチメントを無効にする)
キャタライザープロテクション/エンリッチメント制御を無効にできます。このオプションを選択すると、ECUがキャタライザーを保護しようとせず、パフォーマンスに特化した燃料制御になりトルク感が増します。多分、排ガス温度が設定値超えると、燃料を増やすかつ点火タイミングを遅角度(リタード)させてパワーダウンする制御をオフにすることだと思います。
EGTモニタリングを無効
排気ガス温度監視を無効にします。EGT(エキゾーストガステンパーチャー)センサーを取り付ける場所のないエキマニに交換した場合はこのオプションを選択する必要があります。このオプションを選択する場合、EGT制御および関連するエンジンチェックランプ/ DTCを無効にしてください。
リアO2DTCを無効
マフラーを交換したり、触媒レス仕様にしたとき、セカンダリO2/ラムダセンサーを付けたままで、エンジンチェックランプがついてしまう場合つかないようにするオプションです。
リアO2DTCを無効(ハードウェアを取り外し)
セカンダリO2 /ラムダセンサーを完全に取り除いた場合に、こちらのオプションを選択します。これは、触媒ストレートにした場合のオプションですね。
「105」DTCを無効
モータースポーツサーモスタットの取り付け時に立つフラグ「105」DTCを無効にします。
スロットル調整(コンフォート/スポーツ)
「コンフォート」モードと「スポーツ」モードの両方で、電子スロットルとアクセルペダルのマッピングを調整できます。
ECUWORXによるポップ&バン
燃料カットの遅延と最小点火を変更して、ラリースタイルのポップ&バンを可能にします。キャタライザー装着車での使用はお勧めされていません。
Buildjournalによるポップ&バン
アメリカのBuildJournalのメンバーが開発したポップ&バンを有効にします。Stage1(マイルド)〜3(激しい)のオプションを選べます。触媒がついている場合や、ECUWORXのポップ&バン機能を有効にしている場合、競合するのでこのオプションを選択しないでください。
パワーアップチューニング(£275)
Evolve Automotiveによるパフォーマンスチューニング
Evolve AutomotiveとECUWORXの提携によって安価に提供されているDMEチューンマップです。概ね20馬力ほどのパワーアップと運転のしやすさ向上が謳われています。試した所、低回転のトルクアップは感じられて確かに運転しやすくなります。ただ、Buildjournalのスロットルチューニングでも低回転のかったるさは改善されるので好みで選ぶといいかもしれません。(ライセンス料:£275 )
マップ編集の概要は、
- オープンループ燃料噴射マップの全域で燃料噴射量を増加
- オープンループ点火マップの低回転側の点火タイミングを僅かに早めている
- VANOSの吸気高回転側の開度を僅かに早めている
- ノッキング検出閾値を1〜6番ピストン全てを上げている
用語集
DTC:ディテクト
エンジンチェックランプなどのエラーフラグの事です。車両制御に影響するものやそうでないものが含まれています。
Alpha-N:アルファエヌ
エアフロ(MAFセンサー)を元にした燃料マップではなく、論理(机上)な空気量を元にした燃料マッピングのことです。カーボンサージタンクなどを取り付け、エアフロレス仕様にする場合、Alpha-NマップまたはMAPセンサーやIATセンサーをベースにしたチューニングが必要です。海外サイトだとカーボンサージタンクとセットで出てくる用語です。Alpha-Nはエアフロが壊れた時にも車が安全に動くよう、バックアップマップとしてメーカーが裏に仕込んでいるようです。
Dyno:シャシダイナモ計測モード
シャシーダイナモで計測する際のモードのようです。
EWS:イモビライザーのコントロールシステム
エンジン始動のセキュリティコントロールをしてるシステムと言い換えてもいいかもしれません。
CAT:キャタライザー(触媒)
今回記事ではキャタライザーに統一して書き換えていますが原文は”CAT”となっていて、翻訳だと”猫”と訳されて、最初なんだろう?と困惑しました。笑
MAPセンサー:マニホールド圧力センサー
センサーの呼び名です。CSLはMAF(吸気流量)ではなくMAP(マニホールド圧力)を見て燃焼制御しています。通常のM3にカーボンサージタンクをつけた場合、MAPセンサーをつけてCSL DMEにコンバートするケースと、Alpha-Nマップを使ってエアフロレスにするケースがあります。参考記事
IATセンサー:空気温度センサー
これもセンサーの呼び名です。カーボンサージタンクに変更する場合に変更が必要になるようです。
使い方
ECUWORXサイトのガイドが一番わかりやすいのでこちらを参照してください。
このガイドを見てもやっぱり自分では難しい..と思われた場合、施工代行をお受けしています。"M"ethodology Servceからオーダーを受け付けております。
CSLスタイルカーボンエアボックスDMEチューニング
CSLスタイルカーボンエアボックスにした場合、ECUWORXツールを使ってもそのフィーリングは堪能できません。
素晴らしいエンジンレスポンスとサウンドを十分に堪能するには、1300〜4000rpmのVE(容積効率)マップを調整する必要があります。
これをDIYするには、以下の記事の内容を理解する必要があります。
- E46M3 DIYでCSLスタイルカーボンエアボックスに交換する場合に考慮が必要なこと
- E46M3 DIYでCSLスタイルカーボンエアボックスに交換する場合に考慮が必要なこと2
- E46M3 DIYでCSLスタイルカーボンエアボックスに交換する場合に考慮が必要なこと3
- E46M3 DIYでCSLスタイルカーボンエアボックスに交換する場合に考慮が必要なこと4
- E46M3 DIYでCSLスタイルカーボンエアボックスに交換する場合に考慮が必要なこと5
しかし、理解するにはそれなりの勉強量が必要です。
早くCSLスタイルカーボンエアボックスのエンジンレスポンスやエンジンサウンドを堪能したい方向けにDIYサポートサービスを提供しておりますので、オーダーフォームよりお問い合わせください。