車検整備の罪を懺悔する | BMW E46M3に乗り続けて10年目のリアル

同じ車に永く乗り続けることって、某国内大手メーカーのメディアで取り上げられるほど簡単でも、美しくもありませんでした。

一方で、SNSやブログなどで騒ぎ立てられるほど、輸入車の整備費が高いわけでもない、と分かったんです。

人間って噂に翻弄される、ある意味愚かで間抜けな生き物ですよね。この記事を書きながら振り返ると、しみじみそう感じました。

さて、今回のコンテンツは、愛車に乗り続けてきた9年の経験を振り返り、反省点や今後に向けた教訓を書き綴っています。

僕のように「自分にとって最高の車に長く乗り続けられたら、人生の満足度がどれだけ高いだろうか」と考えている方にとって、このコンテンツが何かしらのヒントになれば嬉しいです。

書いているポイントは大きく2つあります。

  1. 「車の何にお金を使うか(=維持費)」、その判断の難しさ

  2. 「妻とのコミュニケーション」の難しさ。その試行錯誤や気づき

この2つは本当に悩みましたね。

悩めることこそが、人間の醍醐味だよ。なんてね。

コンテンツ

  1. 車検と同時に行った作業をうやむやにした罪

  2. 自分との対話をおざなりにした罪

車検と同時に行った作業をうやむやにした罪

貴重なお金を無駄にせず、もっと楽しいことに使いたいと思うのは万人共通のニーズだと思ってます。

では、「無駄」とは何でしょうか。

おそらく、運転していて「なんかフィーリングが悪いな」「チェックランプが消えないな」と感じ、プロに相談してアドバイスをもらい、パーツを変えてみても改善しなかった――こういったケースこそ無駄だと思うんです。

僕としては、整備士さんに作業を依頼して工賃を支払うこと自体は無駄とは感じません。同じ人間として、そこで対価を払わないのは失礼だと思うからです。

問題なのは「問題解決を他人に委ねた自分自身の判断力」だと、感じています。

アドバイスをもらって自分で決断したのに、結果が良くなかったからといって、アドバイスをくれた人に補償だなんだと喚き散らす……。

客観的に見ると、自分自身にドン引きですよね。「あれ? 自分じゃ何もできない赤ちゃんがいる?(苦笑)」という感じ。

整備士さんも、その隣にいる素敵な事務員さんも苦笑いするしかありません。

心の中で「絶対このオヤジ、モテないだろうな…」なんて思っているかもしれません。

では、どうやって正しい判断をするか。

それは自分で問題箇所を調べたり、解決できそうな人に本当にその力があるのかを確かめるために、問題に対するアプローチや人間性を含めて質問しまくること。

それで自分が納得したなら依頼するし、自分でやれるなら自分でやる。

結局はこれしかないと思うんですよね。

納得してやってみてダメだったら、それはもうこの世に解決できる人がいなかったんだから仕方がない……と、腑に落ちます。

一方で、疑問を曖昧にしたまま進むと、後味の悪さが自分に残り、うまくいかなかった時、誰のせいでもないやり場のない気持ちが態度や言動に滲み出ちゃうと思うんです。

そうすると人が離れ、孤独になり、人生に張りがなくなり、さらに態度や言動が他責になっていくと思うんです。

そしてかまってちゃんのめんどくさい人に成り下がる。笑

繰り返しますが、自分にとって正しい判断をするには、自分が納得するまで疑問を追求すること。

これに尽きます。

それができないくらいなら、そもそも車の趣味を辞めてしまったほうが幸せだと思います。

その程度であれば結局、「世間体」や「他人の目」を気にしてやっているだけで、本当の“好き”ではないはずです。

そんなものにお金と時間、そして“気持ち”を費やすのは無駄ですよね。

「調べるのが面倒くさい」「質問するのなんか怖い」「とりあえず部品を変えて様子を見よう」「でもお金かかるな、妻に何て言おう」「車検に含めたらうやむやになるからいけるかな」……。この"思考の癖"ことが、無駄を発生させる“諸悪の根源”だと思います。

僕も当初はこんな感じでした(笑)。

これをやってしまった後の気分は最悪です。

問題は解決しないし、妻の顔色も悪い。

それを見て申し訳なくなり、家でペコペコする自分……。

正直、カッコ悪いしダサいと思ったんですよね。

でもカッコよくありたいと思うからこそ、疑問は徹底的に追求するクセを身につけたんです。

このクセが身につく前と後の変化が、"維持費"に如実に現れたのでデータでお見せしたいと思います。

10年分の維持費の推移を表示

※ グラフを簡単に説明すると、「修理/メンテナンス」「両方を兼ねる」の2分類が表示されています。「両方を兼ねる」は、“修理/メンテナンス”と“アップデート”(グラフ上は非表示)の両方の意味合いを持つものです。

  • 修理/メンテナンス:劣化した部分を元に戻す、壊れたところを直すなど、必要不可欠な要素

  • アップデート:性能向上や趣味要素が強く、必須ではないもの

  • 両方を兼ねる:上記2つの意味を両立し、僕がどれだけお得にできたかを可視化するための自己満足的な分類

上のグラフは、車の年間費用の推移です。

維持費の種類は、車を所有していれば誰でもかかる固定費と、自分で判断してかける変動費に分けました。

固定費を集計に含めるとデータの解釈に誤解が生じると思ったのと、データ入力がめんどくさかったので、変動費のみ記録・可視化しました。

ですので、この費用に

  • 重量税

  • 自賠責保険料

  • 印紙代

  • 自動車税(66,700円/年)

  • 任意保険料(33,000円/年・車両保険なし)

  • ガソリン代(11,000円/月)

などの固定費は含んでいません。

グラフに含めた費用は、個別に依頼した作業と車検の請求書に含まれる作業を、請求書明細からひとつひとつ抜き出した履歴から集計しました。

※グラフ上の金額に約25万円を加えたものが、リアルなトータル維持費になります。

説明の為に、推移を再度表示

本題に戻りますが、2021年を境に左側が整備工場任せ、右側が完全DIYへ移行した費用です。2021年は工場任せとDIYのハイブリッドです。

(あ、2021年以前の履歴に、車検点検料30,000円が入ってない……)

あと、走行距離もデータで示しておきます。

年間走行距離の推移を表示

※データをちゃんと整備したのは2021年(TSUNAGI APPを開発してから)です。なのでそれ以前の走行距離は記録してなかったので割り算して一律になってます。

明細を細かく見ると、故障して車が動かなくなったから仕方なく支出した費用が左側に多くかかっています。

しかし、大きく見るとこの差はマインドセットの差を表現するには十分に思います。

一方で、「問題があっても放置しているだけじゃないか。そんなことなら誰だってできるよ。」という言い分もありますね。

その通りです!

でも良く考えてみてください。

心配性、神経質でちょっとしたことでもすぐ主治医に診てもらう体たらくから、まぁこれくらいなんともないっしょ。

オイルさえ替えてれば問題ない!

と自信を持てるようになったことは成長だと思いませんか?

"何も知らず考えずに放置" と "知っててこれくらいなら大丈夫という冒険"には、何かあった時への他人の迷惑度に、雲泥の差があると思います。

ここからさらに、冒頭で触れた「無駄なもの」がこの中にどれだけ含まれていたかを示します。

まずは、履歴明細表です。

履歴の明細表を表示(費用区分を両方を兼ねるに絞っている)
履歴の明細表を表示(費用区分を修理・メンテナンス、カテゴリをオーディオ、ユーティリティ、ドライブトレインに絞っている)
履歴の明細表を表示(費用区分を修理・メンテナンス、カテゴリをエンジン、シャシーに絞っている)

この中から、無駄なもののみを一覧でまとめます。

無駄なもの一覧

項目

費用

クラッチ & 軽量フライホイール交換

300,000円

フロントハブベアリング交換

120,000円

ロアコントロールアーム交換

90,000円

タイロッドエンド交換

20,000円

ステアリングラック交換

35,000円

センターマフラーマウント交換

1,600円

合計

566,600円

※ アプリ(TSUNAGI APP)に“無駄なものが一発で分かる機能”をつけたのですが、設計が甘くて無駄じゃないものまで無駄扱いされてしまうので、ここでは手作業で洗い出しました。

これらは、よくわからない"不安"や"焦り"に払った代償だったと考えています。

いや~、約57万円。

家族で沖縄旅行に行けましたね(笑)。

2ヶ月分の生活費にもなる!

2年分の維持費にもなる!

勿体無い...

(これらがなぜ無駄だったのかは、別コンテンツで詳しく解説します。)

自分との対話をおざなりにした罪

無駄なものに手を出してしまった原因として、自分の中に「焦り」や「不安」があったんだと思います。

今となっては、何に焦っていて、何が不安だったのかさっぱり覚えていませんが、愚かだったとただただ思います。

修理後の期待値が高かったんですよね。

せっかく素材の良い車に乗っているのに、なんだか「こんなものなのか」というガッカリ感が大きくて、プロのアドバイスにも都合のいい期待を抱いてしまったのだと思います(これを自己正当化と言いますね)。

スッキリした自分の姿や感覚をイメージして、それを早く得たいという「焦り」、そして得られない状態が続くことへの「不安」。

これがずっと自分の中に燻っているのは気持ち悪いです。

では、妻にもこの気持ちをシェアすればよかったのか……というと、それも微妙で。

伝えたところで、

妻:「いや、何言ってるか分からないし。

そもそも今やる必要ある?

もうちょっと先でいいんじゃない?」

という感じになって、てんで話にならない。

だから、自分との対話が重要だったんです。

僕は履歴だけでなく、メンテナンスやアップデートの計画を30年分立てていました。

計画書を眺めるだけでも、だいぶ気持ちが落ち着いたんですよね。

 参考記事:自分が死ぬまでの愛車の維持費を可視化 | E46M3 30年間の維持費の試算

そして、やっぱり後味は悪くしたくないので妻に相談したんです。計画書を見せながら、

僕:「このタイミングで、この費用を使いたい。

家計全体を見ても、この時期はこれだけ余裕があるから……」

妻:「はぁ? 今、その話をしないでよ!

このタイミングで言われても無理無理無理!!」

撃沈...

こうなると、もう妻に話しても仕方がないと思い、勝手に整備をして失敗し、勝手にやったことで妻に怒られ、申し訳ない気持ちになり、家庭ではヘコヘコする……。

完全にキモ男でした。

今はどうなったかというと、妻は僕の車の趣味を受け止めてくれて、事業の収益が十分でなくても「車は売らなくてもいいよ」と言ってくれるようになりました。

車が僕のアイデンティティーだというのも理解してくれたし、小さい子どもを育児しながら起業もして、米作りなんて無理でしょと思われてたけど理解も得られました。

妻の方も、辞めたかった会社を辞め、子どもたちの"心を育てる"ようち園に入れ、その運営にも関わるようになりました。(もうお局...)

お互いが本当に心からやりたいことに取り組めるようになったんです。

(夫婦揃ってどれだけ冒険してるんだ。笑)

もう少し、"心"に焦点を当てた言い方をすると、「お互い我慢しあって不満を溜め、お金で問題を解決しようとしていた生活スタイル」から、「気持ちを伝えあい、問題を解決する必要があるのかどうか、そもそも問題なのかどうかを一緒に考え、お互いの行動を自分で決め、それを尊重し合う生活スタイル」にシフトしたわけです。

この生活スタイルは、想像以上に心地いいです。

困難なんだけど、その困難がなぜか心地よく感じるんです。

自分を生きてる感が半端ないです。

幼少時代→学生時代→会社員時代には感じられなかった感覚です。

あ、少し覚えがあります。

  • 中学生の時、テスト勉強するって言って、机に向かい一ミリも鉛筆を動かさず妄想に耽っていた時 

  • 予備校に通っていた時、自習室で一度も参考書を開かず妄想に耽っていた時

です。

あの時は妄想するしかなかったけど、今はあの時の妄想がリアルになっているので、不思議な感覚です。

なぜこうなったかと言えば、「自分がどんな人生でありたいか」をひたすら問い続けたからです。

面倒くさくても妻に自分の価値観を伝えることを諦めず、そして妻が理解してくれるタイミングを人生単位で待ち続けました。もちろん、その過程では激しい摩擦も多々ありましたけどね。

SNSや動画で見るような、綺麗で華やかでリッチな世界観ではなく、自分はどうしたいのか、何に心がフィットするのか、自分のリアルを問い続けました。

そして意図的にこの状況を作ろうとしたわけではなく、問い続けた結果、いつの間にか今の形になっていたというのがリアルです。

これは人生戦略だ、とカッコつけようと思えばいくらでもカッコつけられますが、僕は戦略を立てる重要さを知りつつも、戦略を立てるのが面倒なダメコンサルです。笑

なので戦略立案と実行を自動化するために「自分に問い続け、問いに従いあまり考えず行動する」というフルオートプログラムを脳にプログラミングしました。

自分の感性をO2センサーに例えるなら、普遍の14.7という空燃比は僕のマインドセットのオフセット値であり、常にラムダ1となるように、クローズドループで行動を行うイメージです。

もちろん負荷がかかれば思考はブレます。

負荷が大きくなりすぎると対応できません。

例えば、都会から地方へ移住したように、環境が大きく変わって対応が難しくなったので、スキルセットのファインチューニング(学習)を行ったわけです。

車も人間もなんか似てますね。笑

どんな生活に満足を感じるかは人それぞれあると思いますが、「その人生で本当に満足するのか?」を自分に問い続けるのはなかなか難しいです。

だって誰にも正解の提示できない答えを、自分で想像して具体的なイメージにしなければならないんですから。

要するに、自分のしたいことが何か言語化することを、諦めないということだったんです。

そして、妻の気持ちや価値観も自分と同等に言語化することを諦めなかった。

特に女性に多い気がしますが、やりたいことがない、やりたいことがある人がうらやましいと聞きますが、いやいや、言語化できてないだけで問い続ければ必ず辿り着きます。

正しく妻が、このようなタイプでした。

自分が見たことしかない世界観の枠を出ないで考えるから、こうなるんです。

ほぼ親の教育の影響ですね。

親も、さらにその親の影響ですね。

どうすればお互いのやりたいことを実現できるか、やりたいこと、ありたい状態はなんなのか、話して話して話して、具体化し続けたんです。

まさに心のブートキャンプでした。

これは僕だけやる気では成り立ちません。

僕が諦めずに問い続けることを続けた結果、妻にも伝搬し妻も自分の人生を問い続けるようになりました。

逆も然りです。

やっぱり、パートナーというものは影響力が強いですね。

ですので、パートナーとの関係性をチューニングすることも必要不可欠です。

そして"チューニングに終わりも正解もない"と理解することが最も必要不可欠です。

これらのノウハウが「愛車とパートナーとのサスティナブルサポートサービス」に凝縮されているんですよね。

これが僕のリアルであり、社会に残したい教訓です。

おまけ

アップデートにいくら使ったのかデータを載せておきます。

アップデート明細を表示した画像

更に、維持費の詳細が確認できるインタラクティブダッシュボードを共有します。(データは、TSUNAGI APPのデータベースを参照していますので、随時更新されます。)

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