E46 | ECU(DME)チューニングが手軽にできるようになった現状について

2025/2/20更新

BMW E46系(320i, 323i, 325i, 328i, 330i)を主軸としたE系第一世代のECU(DME)チューニングに必要なツールをまとめました。

世界全体で望まれているECU(DME)チューニングオプションは以下のようなものがありますね。

  • アクセルレスポンスアップ
  • 日常のトルクアップ
  • 最大トルクアップ
  • 排気ポップ&バン
  • コールドスタート削除
  • スピードリミッター解除
  • レブリミット変更
  • 各種チェックランプオフ

これらによって愛車の楽しみ方の拡張に繋がればいいなと思ってコンテンツにしてみました。

ECU(DME)チューニングのハードルは、10年前と比べて大きく下がっていて、ちゃんと勉強すればDIYも問題なくできるようになりました。

10年前は15万円〜30万円が普通だったECU(DME)チューンが、今では1万円程度からできるようになっています。

そんな現状を、後で知って後悔したということが無いように整理しました。

既にプロの方やこれからチューニング業にも進出したいとお考えの方などにも参考になるはずです。


目次


チューニングに必要なツール




※ECUのことはこれ以降、DME(デジタルモーターエレクトロニクス)と呼びます。

DMEチューニング入門者でよく勘違いしてしまうのが、DMEデータの読み書きツールと編集ツールが一緒であるということです。一般的には別々のツールです。(今回紹介するツールの中に一緒になっているものがありますが、これは例外です。)

さらに編集ソフトを導入すればすぐ利用できるわけでなく、データの意味を説明する定義ファイルの入手も必要です。

これらについての概要をまとめています。


読み書きケーブル

車両にデータを読み書きするにはK+D-CANケーブルが必要です。車両とPCを接続して、読み書きソフトを使ってデータを読み書きします。

流通しているK+D-CANケーブルには真ん中にスイッチがついているものとないものが存在します。DMEデータの読み書きにおいてはスイッチがあってもなくても、スイッチが左右どの位置あっても読み書き可能です。

しかしK+D CANケーブルは、INPAによる車両診断やNCSExpertによるコーディング、WinKFPによるDMEリプログラミングも可能です。

このように診断やコーディングにも利用したい場合、2007年以前のE46系はスイッチがあるケーブルが必要です。さらにスイッチを右側にセットして、内部の7番ピンと8番ピンを短絡させることで利用できます。(Kラインを利用)

2008年以降のE90系ではD-CANラインを使うのでスイッチがないケーブルを使用します。スイッチがあっても、スイッチを左にセットすることで利用できます。(スイッチがないケーブルは、2008年以降の車両に対応したものになります。)

ケーブルは、AliExpressだと2000円前後で購入可能ですが、高確率で内部の線が断線して使い物にならないことがあるようです。また内部ソフト(ファームウェア)が壊れていて、E90以降のECU(DMEを含む他のコンピュータも)をブリック(壊す)可能性があるようです。

アメリカやイギリスで販売されているケーブルは、モノは中国から輸入したものだそうですが、ファームウェアを修正して動作確認をした上で販売しているようです。ケーブル代+送料で10,000円はしてしまいますが、ブリックするリスクを下げたいならアメリカやイギリスから購入する必要があります。


読み書きソフト

別名フラッシュツールとも呼ばれています。フラッシュツールはエンジンパラメータが記録されたファイル(バイナリ(BIN))を車両に読み書きするソフトです。

DMEのモデルごとにプロトコル(通信規格みたいなもの)があって、これがソフトウェアに組み込まれていることで読み書きが可能になっています。

人気のある車種は、DMEタイプごとにフラッシュソフトが無料もしくは8,000円前後ほどで提供されています。昔は無料のものが多かったのですが、最近は少額ですが有料のものが増えてきました。(有料でいいと思います。)

しかし、人気のない車両はソフトが提供されていないケースが多く、その場合KESS3やCMDなどプロ向けのツールが必要になります。プロ向けツールほぼ全ての車両のプロトコルがカバーされている代わりに、50〜70万ほどで購入する必要があります。車種別に切り売りはありません。幅広い車種のチューニングを扱うプロショップはこちらを購入した方が投資効果は高いですが、自分の愛車1台だけで良い愛好家にとっては無駄な投資になってしまいます。


編集ソフト

フラッシュツールで抽出したバイナリ(BIN)ファイルにチューニングを加える編集ソフトです。

マップエディターとも呼ばれたりしてます。

バイナリ(BIN)ファイルは、16進数の数字が羅列されたコンピュータ言語が記述されたファイルです。このままでは、どこがどんな意味なのか、どこをどういじれば良いのか人間にはさっぱりわかりません。

マップエディターはこのバイナリファイルを人間が意味を理解できる数字やグラフに可視化してくれるソフトです。

愛好家向けにTunerProというソフトが最も使われているマップエディターになりますが、厄介なことにこのソフトだけでは使えません。

バイナリファイルの中身を説明する定義ファイル(XDF形式)が必要になります。

さらに厄介なのがこの定義ファイルが中々手に入らないことです。手に入ったとしてもやりたいチューニングをするのに、意味づけされたデータが足らなかったり、意味づけされていてもその意味が分からなかったりと、定義ファイルが手に入らないことがより一層DMEチューニングのハードルを上げています。(誰も悪くないんですけどね。)

ですが、最近はE46 320i、323i、325i、328i、330iなど人気の車種であれば定義ファイルとチューニング方法が整理されているので、チューニングはとてもやりやすい環境が整っています。(しかも無料で!ありがたいですよね。)

さらに、人気車種からあぶれた車種もマップ定義とマップエディター機能が統合されたリーズナブルなサービスも出てきたので、どんどんチューニングがしやすくなっています。(月々2500円程度)

ちなみにこれまでプロが使っていたマップエディターはwinOLSというソフトです。ソフトだけで15万円ほどします。さらにマップ定義をストアから購入する必要があります。(値段は分りません。)このマップ定義はA2Lというファイル形式で、TunnerProなどと互換がありません。なのでプロ用と割り切られたツールになっています。(でも最近はこのA2LをXDFに変換してくれるプログラムを公開してくださってる方もいます。)

(winOLSで検索すると、AliExplessで旧バージョンのwinOLSが大量のマップパック付きで3000円程度で売られていますね...! ちょっと見なかったことにしておきます..!)

また、E46 320i、323i、325i、328i、330iと、車種に限定すれば、RomRidarという編集ソフトも使うことができます。

TunerProとRomRidarどちらを使うかは、実際に自分でいじってみて決めるのが良いと思います。


データストア

チップチューニングストアと呼ばれることも多く、自分の車から抽出したバイナリファイルをアップロードしてやりたいオプションを選択し、オプション分の料金を払うと1時間以内にチューニングファイルを返送してもらえるサービスです。

会員登録後、トークンを購入しオプションに消費トークンが表示されているので、やりたいオプションを選んだ分だけトークンが消費される仕組みです。1トークンあたり約15,000円となっており、1オプションあたりほぼ1トークンとなっています。

メニューにないオプション(例えばNAエンジンをターボ化したりスーパーチャージャーをつけた時のチューニングにも対応してくれます。)


自分で編集する

車種(DMEタイプ)別におすすめのツールをまとめました。


特にMS42,MS43,MS45(E46 320i、323i、325i、328i、330iなどに搭載されているDMEタイプ)を搭載する車両はドキュメントもマップ定義も充実しています。しかも無料!

また、リーズナブルなプロ向けのツールもあります。

それ以外の車両は、10,000〜30,000円程度でチューニングの準備が整います。


E46系の情報をくまなく探したのですが、M43エンジンを搭載する316i系やN46エンジンを搭載する後期318i系、M47エンジンを搭載する320d系車両は、安価な読み書きツールが見つかっていませんので、現時点では高価なプロツールを購入する必要があります。


編集を始める前に必ずデータのバックアップを!

チューニングを始める前に、必ず車両データのバックアップを取ります。

純正状態からチューニングする場合であれば、失敗してもwinKFPでリセットできますが、すでにチューナーでチューニングが済んでいる場合このデータに上書きしてしまったら元に戻せません。(すでに自分の車でやらかし済み:参考 E46 M3 DMEチューンのDIYに失敗した時の復旧方法


データを買う

データの読み書きは自分で行い、編集のみ外注する方法です。

  • やりたいオプションが一回きりのもののみ
  • 既存チューナーのやり方を参考にしたい 

時などに有効です。 

特に、スーパーチャージャーやタービンを後付けした場合のチューニングをweb上でのやり取りで入手できるのが大きいです。

    ベースチューニングデータを手に入れたあと、現車に合わせてチューニングすれば良いので、チューニング時間のコスト節約にもなります。

    このようなサイトは実はゴロゴロあって、しかもみんな中身は同じです。おそらくグローバルでフランチャイズ化されているのだと思います。

    なので、僕が自分でデータを購入して試したサイトを紹介しておきます。

    このようなサイトで購入できるデータはいわゆる"吊るし(個別に編集された訳ではない汎用的なデータ)"です。

    吊るしのデータ販売は日本のチューナーでもありますね。

    でも最近、日本ではあまりみませんが、車両のデータログなどを共有しながらオリジナルのデータを作成してもらうサービスがアメリカやイギリスを中心に見かけるようになりました。

    現車セッティング(シャシーダイナモに乗せて現仕様に合わせてセッティングを見直す)の相場が15万〜30万なら、オリジナルデータ作成は8万円程度で提供されています。

    BMW系だと、HTE Paformanceというチューナーさんの信頼度が高いようです。NA M3 formを見てもポジティブレビューしかありません。やりとりしながら色々と知識を提供してくださるそうなので、こういったサービスを受けることでそのノウハウを吸収し、DIYに生かすというのが良いやり方かもしれません。


    万が一何かあった場合はwinKFPでリセット

    粗悪なコピーツールを使ったり、通信が途中で切れてしまったり、操作を間違うと起こるDMEのブリック(ウンともスンとも言わなくなる)。

    E46系のDMEはwinKFPで更新可能ですので、万が一の時はデータをリセットしてからチューニングを再開します。

    チューニングを始める前にフルバイナリをバックアップしておけば問題ありません。

    winKFPを使えるようにしておくことでより安心できる材料を手持ちできます。

    (参考 E46 M3 DMEチューンのDIYに失敗した時の復旧方法


    翻訳ツールを使いこなす

    ツールは全て英語です。日本語訳されたものはありません。でも今の時代、言葉の違いはやれない理由にはならなくなってきました。

    webページの情報なら、ブラウザに内蔵された翻訳機能を使います。

    アプリに表示された英語なら、Google翻訳アプリ(カメラ越しにARで翻訳を重ねる機能)を使います。

    こういった最新テクノロジーを使えることもDMEチューニングのハードルが下がった要素ですね!

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