愛車の性能を手軽に見える化1 〜馬力とトルク編〜
自分が今乗ってる愛車の性能ってぶっちゃけどうなのよ?を、手軽に見える化する方法を連載風に紹介していきたいと思います。
初回は、OBDⅡから車両の走行データを取得して、スプレッドシートで見える化してみた結果を書いてみました。
わざわざシャシダイに乗せて時間とお金をかけず、自分で愛車を走らせて、楽しみながらついでに馬力とトルクを測ってしまおうという提案です。
初めに
「愛車の性能を手軽に見える化」は、当初、オイル交換してパワーが上がった“気がする”
車高調を変えて、コーナーを速く気持ちよくクリアできるようになった“気がする”
を、本当かどうか誰でも手軽に白黒つけられる方法を、アプリにしてすぐにでも共有したいと考えていました。
しかし試行錯誤してみた結果、やっぱり簡単にはいかないことが分かったので、途中経過を小出しにさせていただくことにしました。
エンジンの馬力とトルクをスプレッドシートで見える化
車についているOBDⅡコネクタに、OBDⅡスキャンツールを接続し、スマホアプリでアクセル開度やエンジン回転数、馬力やトルクなどのデータを取得します。
このデータをアプリ上でCSVにして、パソコンにメールで送ります。
CSVファイルをパソコン上のスプレッドシートで開き、グラフを作成します。
グラフを見て、変なデータがあればフィルタをかけて間引いたり、戻したりして、自分が見たいラインを引きます。
これで見える化完了です。
大体6,000円〜20,000円の設備投資で実現できます。
ツール
僕はOBDⅡスキャンツールにkiwi3(12,000円)を使い、データ取得アプリはdashcommand(1,220円)を使っています。
スマホはiPhoneXRで、パソコンはMacbookの2017年モデル。
webブラウザはchromeで、メールはgmail、スプレッドシートもGoogleで無料です。
ざっと見える化手順をご紹介
僕はデータ分析に関してはど素人なので、この手法で出た数値を信頼していいかどうかは判断できません。
でも大切なのは理論より、描いた絵(グラフ)と走って感じた感覚(体感)が、
- 自分の中で一致すること(腑に落ちること)
- 次にどんな刺激を得ようかアイデアが浮かぶこと
だと思っています。
これを踏まえて以下手順をご覧ください。csvファイルをそのままスプレッドシートで表示すると、こんな感じで数値が羅列されます。
データの取得は0.1秒ごとです。
データは無加工の状態で、横軸を回転数、縦軸をトルクとスロットル開度に設定してグラフにすると、こんな感じで表示されます。
無加工だと、走った時系列で表示されるので、シャシダイで計測されたような性能曲線のイメージとはかけ離れています。
性能曲線っぽくしてみようと、まずは回転数のデータを小さい順に並べ替えるとこんな感じになります。
このグラフによって、最大トルクは33kg-f・m(5000rpm〜7000rpmの間で)出ていた事が、簡単に見えました。
次に馬力を見てみます。
トルクと同じようにグラフにしてみましたが、ぱっと見何馬力出てたのかわかりません。
なので、今度はデータシートの方で見てみます。
馬力が記録されている行を選択し、右クリック、「列の統計情報」をクリックすると最大馬力が279psだった事が簡単に見えました。
画像に出てませんが、6910rpmの時の出力です。
トルクに話を戻して、さっきのトルクグラフだと、数値が上に行ったり下に行ったり見にくいです。
なので邪魔なデータを間引いてしまいました。
データシートから、アクセル開度100%以外の値にフィルタをかけて非表示にしました。
そうすると上のようなグラフに変わります。
でもまだ違和感があります。
なので、今度はトルクの値で12と26(外れ値)を示していたデータを、非表示にしてしまいました。
すると上のような感じになります。
データが少なくなってしまいましたが、なんとなくアクセルを踏み続けている時の出力特性風になりました。
トルクが33の時のラインにマウスを当てて見ると数値が浮かび上がります。
こちらも。
最大トルク33kg-f・mが出てたのは、5264、6135、6910rpmだった事が、このグラフのおかげでぱっと見えました。
でもやっぱりシャシダイで計測したような性能曲線を出したいなと思い、この値から予測カーブ(トレンドライン)を表示してみました。
グラフのカスタマイズメニューで、「トレンド」にチェックマークを入れるとぱっと出ます。
ただ、トレンドラインも色々な種類があって自分で選ぶ必要があります。
今回は一番性能曲線っぽいラインが出せた「対数」を選んで表示してみました。
実際8000rpmまでトルクが伸びていくことはないと思うので、参考程度です。
実態に近いカーブを出すには、もっとデータが必要だと思います。
馬力の方も、同じようにトレンドラインを表示してみました。
こっちは良い感じです。
8000rpmまで回せば、300馬力は出そう!
前オーナー達にあまり大事にされてなかった車で、ここまで出れば納得です。笑
これからやって行きたいこと
今回記事でお見せしたサンプルは、アクセル開度100%の時のデータのみを使いました。
開度100%で8000rpmって日常だとまずないですよね。笑
サーキットで走ったデータがあれば、シャシダイで計測したような綺麗なデータが出せるかもしれません。
でも僕のような育児世代には敷居が高いです。
現実的ではないのでボツです。笑
次は、日常領域(例えば買い物に出かけたり、レジャーで高速乗ってる時のデータ)で、パーツ交換前後のパフォーマンス差を比較できるようにしたいと思ってます。
比較グラフのイメージは下のような感じです。
ただ、これ「確率楕円」というものを描画することになるので、ちょっと勉強が必要です。
あと、データをたくさん取って再現性を確認しないといけません。
なので時間がかかりそうです。
このグラフより分かりやすいのがあるかもしれないので、その調査も進めて行きます。
そして僕の本当の目的は、コーナリングをより刺激的かつ官能的にする為の指標を見える化することです。(EVにも適用できることを狙っています。)
これにもいくつかアイデアがあるので、こっち方面を先に書くことになるかもしれません。
最後に
この取り組みは、みなさんが、みなさんそれぞれの愛車の維持・性能改善に、無駄な投資をしなくて済むよう、評価支援だったり維持管理計画支援サービスを提供できることを目指しています。
みなさんがそれぞれの愛車を長く維持できるよう支援する目的は、自動文化の維持と発展です。
これは古き良き自動車文化を後世に残したいと強く思うからです。(あとは車好きは汚い、ダサいという社会のイメージを、カッコイイ、素敵に戻したい。あわよくばアートにしたい。)
自動車文化は、世にある文化圏の一つにすぎませんが、文化は人のアイデンティティを作り、成長を促す機能があると思っています。
文化とは、人が作った作品にファンが熱狂し、考え方や志しを同じにする人が集まって、その作品を超えて新しい価値が創造され続けることだと思っています。
このプロセスでファンの創造力が増し続け、これが成長であると考えています。
しかし、現代社会においては経済事情がそれを阻んでると考えています。
車の維持にはお金が掛かる故、経済的強者しか持続させることが出来ず、アニメなどと比べると文化の発展スピードが著しく遅いと考えます。
特に日本の場合、税制や車検制度が制約になっていると考えています。
自動車文化の発展には、より多くの人が経済的制約や社会制度の制約を超えて、楽しいと感じ、自ら進んで新しい価値を創っていけることが重要だと考えています。
なので、僕は経済や社会に縛られない新しい価値創造を試行錯誤し続けたいと思います。
そしてそんな試行錯誤をこのブログを通して発信し、自動車文化の発展に貢献していきたいと考えています。