自分が死ぬまでの愛車の維持費を可視化 | BMW E46M3 30年間の維持費の試算
憧れのM3。20年、30年永く乗る覚悟ができれば、普通のサラリーマンでも維持する事は現実的だと思っています。
巷で噂される通り、確かに故障は多いし、パーツも国産に比べたら高いです。
でも乗ってるからこそ言えるのは、国産車では味わえない、どんなカスタマイズをしてもたどり着けない“走りの質感”や“乗る楽しさ”がある、ということです。
M3を30年間乗る場合の維持費と、国産新車を10年サイクルで(3回)乗り換えた場合の差額を、比較してみました。
- M3を30年乗り続ける:1,752万円
- 国産新車を3回買い替え:2,310万円
人生一度きり、限りある時間のなかで、満足いく期間が長ければ長いほどお得だし、ましてや安く済むのであれば尚いい。
先入観を捨て、少し古い車を選んで永く付き合うだけで、それが可能だということを広めたいと思っています。
そして永く乗る覚悟をするには、自分の考え方を変える必要がありました。
この記事ではその考え方について書いてみました。
そして、欧州車はすぐ壊れる、という不安にどう向き合うかについても書きました。
これまで4年間M3に乗ってみて、実際に壊れた箇所と掛かった費用も載せました。
実績にもとづいたメンテナンス計画の立て方についても書いています。
M3は高嶺の花だ!という思い込みを捨て、現実に落とし込み、愛車を楽しむ道を見つけて頂けたらと思っています。
この記事の内容は、他の車に対しても有効だと思うので、参考になったら嬉しいです。
詳細な維持費を知りたい場合は以下の記事を参照ください。
30年、永く付き合える車を見つける
初めのハードルは、30年付き合えそうな愛車と出会うことです。
僕にとってはE46 M3でした。
フェラーリやポルシェよりもE46 M3が好きです。
一番大切なのは、自分は車を使って何がしたいのか、をハッキリさせることでした。
最初僕は、他人に見栄をはりたいのかな?と思っていましたが、よく考えてみたら違いました。
家族を楽しませたい、家族が行きたい所へ連れて行きたい、その為に自分が満足する車に乗る必要がある、というのが僕の深層心理にありました。
なので日常の常用領域でも、走りを楽しめる車に乗る必要がありました。
僕がミニバンなんかに乗っていたら、家族にどこどこ行きたい!連れてって!と言われても、めんどくさくて拒否していたと思います。笑
M3なら、いつでもどこまででも全く苦にならず、家族の好きな所へ連れて行くことができます。
そして実際その通りになっています。
買ったらまずはそのまま乗ってみる
誰もが憧れる定番マフラーに交換する前に、まずはそのまま乗ってみる事をオススメしたいです。
失敗ケースで、せっかくM3買えたのに、財政破綻してその後すぐに泣く泣く売却したという例を目にしました。
欲求を抑えきれず高額マフラーを買ってしまい、その後すぐに高額修理が発生してしまい家計破綻してしまった様です。
本末転倒です。笑
異音がないか、どこかフィーリングが悪い所はないか、まずは今の車の状態を把握する事が大切だと思っています。(目安は10,000〜20,000kmでしょうか。)
まずはそのまま乗ってみて、車の状態を感じ取る事が、永く乗る為の第一歩だと思っています。
なんかハンドルフラフラするな?この異音なんだろう?どこが悪いのかな?
まずは疑問を持つ事が、コスパの良いメンテナンス計画を立てる第一歩だと思っています。
開発者の想いを想像して共感してみる
愛車への愛を継続するためには、生まれた経緯を理解する事も大切なことだと思っています。
何に対しても、永く付き合っていると、納得できない所が見えてきてしまいます。
でもそれは受け入れた方が幸せだと思います。
私は以前、商品開発をしていました。
市場ニーズや会社の方針を優先し、自分の理想を押し殺しながらプロとして仕事を全うします。
この時、凄まじい葛藤があります。
なんとか少しでも自分の想いをプロダクトに反映させようと、裏で様々なドラマが生まれます。
そしてそのドラマが表に出ることは殆どありません。
純正は妥協の産物と決めつける前に、開発者がどこに自分の色を忍び込ませているのか、それを見つけられた時はニヤニヤしてしまいます。
車を通して開発者と繋がれた気がします。
特に欧州車はこの想いが強い気がします。
そもそもBMWはメーカーとしての拘りを一貫して貫き通しています。
そうすると、"純正"である事が一つの美しさであることに気付き、そのまま乗ってみることが逆に上等だと思えるはずです。
コンピュータ制御の不安を乗り超える
それは車両診断の国際規格導入が、日本より早かったことに起因しているのかもしれません。
故障診断をする為に、センサーの量が増えています。
さらに、異常通知基準が日本より厳しいことで、チェックランプが付きやすいことが壊れやすいのイメージを助長している気がします。
実体は、異常を検知するだけが殆どで、異常検知されたら車が動かなくなるだとか、パワーセーブがかかるとかは、殆どないように思います。
むしろ整備が必要だ、とドライバーに教えてくれる、良い機能です。
どちらかというと、ドライバーへの通知がエンジンチェックランプだけ(特に古い車は)でなので、何の異常かわからない事が、不安を煽っているのかもしれません。
日本では世界に比べ、確か10年くらい導入が遅かったと思います。
それゆえまだ馴染みがなく、ディーラーしか手が出せないと不安に思ってしまうのかもしれません。
でもそこは、不安に思わなくていいと思います。
個人でも扱える診断機が世の中には溢れています。(通称OBD2スキャナーと呼ばれるものです。)
特に2000年以降の車両は、海外を中心にDIY情報が溢れています。
Google検索に備わっている自動翻訳機能を使えば、webページを丸ごと翻訳してくれます。
診断機を使えば、どんなエラーが出たのかOBD2から読み取って、コメント付きで教えてくれます。(ただし英語。笑)
コメントを見ても分からない場合は、海外サイトで調べてみます。
それか、診断機を使って一度試しにエラーを消去してみます。
再びエラーが出ないかぎり、まだ問題ない可能性があるので、様子を見ます。
再び同じエラーが出た場合、そこで初めてディーラーまたは自分が信頼できるショップに相談してみるのでも、いいかもしれません。
メンテナンス情報を集める
海外では車種別にフォーラムサイトがあり、DIY情報やチューニング情報の交換が世界レベルで活発に行われています。
参考:NA M3 Forums
そこには日本とは比べ物にならない情報量があります。
日本では"みんカラ"がそれに近い役割を果たしていますが、その比ではありません。
基本的には英語で記述されていますので、英語で検索するとヒットします。
世界の情報を整理しようとしてくれているGoogle先生のお力を借り、翻訳機能もうまく使って情報を集めてみてください。
信頼できる整備士(主治医)を見つける
愛車のメンテナンスを引き受けてくれるショップは、結局は"人"で決める事が大切だと思っています。
車は日常的に使っていれば、壊れることは少ないのですが、それを裏付ける根拠が整備士の経験則でしかありません。
これはメーカーエンジニアやディーラーの整備士さん達がよく分かってらっしゃることです。
(僕は元プラントメンテナンスエンジニアで、これを見える化・伝承する技術の開発に腐心していました。)
整備士は、同じ車種を何台も面倒をみている上に、設計思想も理解しているので、どこがどれくらいで壊れるか、弱い部分はどこか、どんな運転や管理をしていたらどこが悪くなるかなど、データでは表せない信頼できる根拠を持っています。
問題なのは、ディーラーやショップが会社の方針で売上重視になっていることです。ディーラーが進めてくるメンテナンスメニューは、無駄ではないと思いますが過剰だと僕は思っています。
整備士さんたちの中には、会社の方針より、ユーザーの満足を一番に考えてくれる方がたくさん紛れています。
そのような方たちを見つけて、その中で自分とウマが合う方と巡り合えれば、最高のメンテナンス体験ができます。
これまでは自分でディーラーやショップを転々とするか、口コミで紹介してもらうしかありませんでした。
最近だとInstagramやみんカラなどのSNSで繋がれる事も多くなってきました。
自分でアンテナを広げることで良いパートナー(主治医=整備士)を見つけられる可能性が広がります。
メンテナンス計画を立てる
情報を集めたら、長期的な計画を自分で立ててみます。
ディーラーやショップにお任せすると、どうしても安心、楽さ優先でメンテナンス費が高くなってしまいます。
これを自分で管理する事で、費用を大幅に下げる事ができます。
管理が大変という声が聞こえてきそうですが、自分でメンテナンス計画が立てられると、その間夢と希望に満ちた楽しい時間に浸れます。
少し言い方を変えると、今何をやって何を後回しにようか悩む事が、私たち車好きにとって実は幸せな時間だということに気付けるはずです。
コスパの良いメンテナンスメニューを見つけられた時は、表現しようのない喜びがあります。
参考に僕の30年間のメンテナンス計画を公開します。
もちろんM3購入費用も含めています。
この表では、以下のカテゴリに分けて30年間の維持費を試算しました。
- 税金&自動車保険
- 定常メンテナンス費
- 修理費
- チューニング費
税金&自動車保険、定常メンテナンス費は、絶対にケチってはいけない費用です。
特にオイル交換をサボるなんて問題外です。
それ以外に下げられる費用は、修理費とチューニング費です。
とは言ってもチューニングはしたいのが車好きの性。
チューニング費を下げるポイントは、修理が必要になった部分をチューニングパーツにしてしまう事です。
例えば、クラッチ交換が必要になったら、純正ではなくOS技研のクラッチにしてしまうなどです。
純正が30万円の部品代なのに対して、15万円で済んでしまいます。
この積み重ねが、維持費を下げ、永く乗り続けるモチベーションにつながるんじゃないかと思います。
メンテナンス実績と集めた情報を積み上げ、整備計画を作成し直してみました。
すると、もっと維持費を下げられる見込みが立ちました。
- 当初30年計画:1,752万円
- 実績にもとづいた計画見直し:1,413万円
これを30年で割ってみると、年間約47万円で維持出来ることになります。
ただし、この費用は僕が買ったM3の話しなので、皆さんの維持費は、前オーナーにどれだけ大切にされてきたかに大きく左右されると思います。
皆さんが、ご自分ならではの計画を立てる助けになる情報はいずれ書かせて頂くとして、まずはこの記事と以下の記事を参考にして頂ければ幸いです。