E46 M3 乗りやすさをアップデートする2つのアプローチ

E46M3

車の乗りやすさやパワー感・加速感をアップデートする方法は、燃料噴射量マップ・点火時期・バルブタイミングなどの調整(いわゆるECUチューニング)がみなさんがイメージしやすいアプローチだと思いますが、10万円から30万円など高額でなかなか手が出ないのではないでしょうか。この記事では簡単かつ安価にできるスロットル開度チューニングをもう一つのアプローチとして紹介したいと思います。

サーキットで、常にスロットル100%状態のドライバビリティ向上を狙うならECUチューンが効果的だと思いますが、日常や高速、その辺を軽く流す程度がメインであれば、スロットル開度チューニングでも十分満足感が得られると思ってます。

僕が実際に両方やってみた体験をベースにまとめてみました。


乗りやすさってなんだろう?

乗りやすさとは、自分の期待通りに車が動いてくれるかどうかだと思います。言い換えるとアクセルを踏んだ量に対して自分が感じる加速感に納得感があるかではないでしょうか。

サーキット走行なら、シャシダイで計測したエンジン性能曲線がドライバーの感覚と直結し、性能曲線の中間点に凹み(谷)があれば、それがもどかしく感じるかもしれません。

一方日常においては、アクセル開度はせいぜい5〜15%くらいで、軽く流す場合も50%程度の場合が多いのではないでしょうか。しかもアクセル開度を固定するケースは稀で、常に開けたり閉めたりと流動的だと思います。むしろ、加速する時は”アクセルを徐々に踏み込む”操作をしていると思われます。

加速感をトルクに言い換えて説明すると、回転数の上昇とともに上がっていくトルクと、アクセルの踏み込む量によるトルク上昇の2つの要素によって、ドライバーが感じとれる加速感が決まります。

この加速感が、自分のアクセル操作に対して納得するレベルで追従してくれることが、乗りやすさなのではないでしょうか。

よって、日常レベルでの加速感を調整したい場合、自分のペダルの踏込み量に対して電子スロットル開度を調整してあげる事で、性能曲線の谷を補正してあげられると考えています。(厳密にはエンジン回転数も大きく関連してきますので、自分の運転の仕方をよく分析してから調整するのが効果的だと思います。)

ECUチューンは、点火時期やカム角度、燃料噴射量など多くの要素が絡むのでより難しいアプローチになりますが、スロットル開度チューンならアクセル開度とスロットル開度の関係性だけを見ればよいのでとてもシンプルです。

世界中でE46M3の3000rpm付近のトルク不足が言われていて、実際これを実感してなんとかしたいと思っているオーナー様は多いですよね。これに対して世界中のチューナーがシャシダイ(スロットル100%の時)の性能曲線を引っ張り出して、ECUチューニングが解決策ですと言わんばかりに高額オプションを提示しています。

改善したいのは日常のちょっとしたフィーリングだから、もうちょっと手軽にできないかと考えているオーナーさんもいらっしゃると思います。その場合、まずはスロットル開度調整から試しにやってみるのがおすすめです。


※いじる前にメンテナンス

チューニングする前に基本的なメンテナンスをするだけでも大きく不満を解消できるはずです。

僕がE46M3を購入した時、アクセル踏んだ時のもっさり感にとても幻滅しました。M3ってこんなもんなの?と。

でもプラグとオイルを替えた瞬間にシャキッとして、納得できる加速感になりました。

他にも、エアフィルター(空気量)、燃料フィルター(燃料噴射量)、O2センサー(燃料噴射量を決める)などの基本部分を交換・清掃するだけで十分乗りやすくなると思います。

乗り方が変わったり、メンテナンスをしたら学習値のリセットでも変わると思います。

さらにちょこちょこエンジンを高回転(4000rpm〜8000rpm)まで回すことでこびりついたスラッジを吹き飛ばしたりできるのでは?と思います。

今まで、CSLプログラミングなどの施工でほぼノーマルベースのM3を乗り比べさせて頂きましたが、僕のM3の加速感より凄いと思ったのは1台だけでした。

オーナーさんに話を伺った所、基本メンテナンスをきっちりやられていたのと、日常的にアクセルを踏み込んでいる頻度が僕より多いとのことでした。


スロットル開度調整

E46M3オーナー様なら、アクセル操作に対するスロットル開度のマップを、コンフォートモードかスポーツモードを選べるのはご存知だと思います。

スポーツモードにするだけで車が別物になります。SMGのスピードも上がります。(プログラムのパラメータを見てみるとそういうMAPになっているので間違いありません。)

E46M3の場合はこの二つのモードの違いを認知する所からが始まりだと思います。

これを踏まえた上でのアプローチを紹介したいと思います。


スポーツモードメモリー

コンフォートモードだと加速では軽自動車に捲られるM3ですが、スポーツモードだとそんな不満とは無縁です。

常にスポーツモードだと良いなと思っても、E46M3の標準状態だとエンジンを一度切るとコンフォートモードに戻ってしまいます。

スポーツモードメモリーをプログラムをすれば、再スタートした時もスポーツモード状態になっていて、わざわざボタンを押す必要はありません。

ECUWORXのツールを使えばDIYで簡単に設定できます。


アクセルペダルと電子スロットルの関係を調整

スポーツモードの弊害としては、バックするときちょっとしたアクセル操作でも過度に加速してしまうことです。

慣れればいいと言われたらそれまでなのですが、僕の場合妻も乗るので、運転に不慣れな妻だと駐車時に家を破壊するリスクがあります。笑

そこで、家族みんなにやさしいチューニングを考えた時、コンフォートモードの底開度部分を少し上げるのが妥協案でした。

僕がちょっと加速させたいときに使ってたアクセル開度10%をターゲットにして数値をあげて周辺とのバランスを考えて20%の部分も少し上げました。

急発進を防ぐ目的で5%部分はそのままです。

下のグラフのように、OBD2スキャナーで買い物に行く時の20分くらいの走行データを取り、自分のアクセル開度の使用頻度をグラフ化して自分のアクセルの踏み方を見える化してみました。


横軸をスロットル開度(SAE.TP %)縦軸と出現頻度(回)に並べたグラフです。僕は日常では大体4000rpmくらいまでしか回しませんが、ちょっと加速させた時は12 %くらいしかスロットルを開けていないことがわかりました。

下の画像が調整前です。


縦軸のPedal(%)に対して左のValueの値を以下のように変更しました。

  • 10 :  5→9
  • 20 :  15→19
  • 30 :  27→31
  • 40 : 41→45
  • 50 : 53→57
  • 65 : 69→73
  • 80 : 83→87

下の画像は調整後です。

これによって、妻の安全を維持しつつ、僕がある程度満足できる楽しさをプラスできました。

この調整も同じくECU WORXのツールでDIYできます。


ECUWORX×Evolve Automotive ECUチューニング

引用)ECUWORX

スロットル調整をした状態でECUチューニングをやってみました。

色々なECUチューニングがある中で、3000rpm付近の乗りやすさと高回転域のMAXパワー向上を謳ったイギリスのEvolve Automotive社のECUチューニングを選びました。

他のチューナーからは、高回転域の絶対パワーを追求したり、排気音に拘ったもの(確かスーパースプリント社だったような?)などが出ていますが、僕は日常の乗りやすさを改善したかったのでEvolveのものにしました。

ただ、コンフォートモードのスロットル開度を調整をした状態でこのEvolveのECUチューニングを行ったら、加速感が高くなりすぎてちょっと気持ち悪くなってしまいました。

なのでコンフォートモードのスロットルを後日戻したらちょうど良くなりました。

スロットル調整はほぼ無料に対してECUチューニングは45,000円ほどかかったので、あくまで日常にフォーカスしたらスロットル調整で十分です。


スロットルチューニング&ECUチューニングを代行

僕はDIYを強く推奨したいのですが、やっぱりそれは面倒だったり、コンピュータ系は苦手だという方の為に施工代行をお受けしております。

スロットルチューニングは30,000円

僕の車を運転して頂いたり、オーナー様のアクセルの踏み方を見える化した上で、開度調整をしたり、結果をレポートにしてお渡ししたり、体験をカスタマイズして提供できたらと思います。そしてレポートはブログに公開させて頂いて、他のオーナー様の参考になるようにさせて頂きたいです。

また、オーナー様が今まで愛車にどんな手入れをされてきたのかお伺いして、皆さんの参考になるように出来たらと思っています。


ECUチューニングは施工代行30,000円+仕入れ値(4〜5万円)

今回Evolve社のECUチューニングを紹介していますが、同じような方法で施工出来るECUチューニングが他にもあります。



たとえばアメリカのbuildjournalのECUチューニングはM-trackモードが不可能な前期型にM-trackに似た制御を入れるチューニングが含まれていたりします。

この会社のオリジナルスロットル調整(スポーツモードのさらなるスポーツ性アップ)も含まれています。

僕が紹介している以外にも、オーナーさんが見つけてきた物を代行して施工します。(他にも色々あるので)

日本国内ではこういった自分で書き込みできるサービスがなく、海外サービスは5万円以下が相場です。

英語が苦手、ツールのことがよくわからない、1度しかやらないから頼んだ方が良いなどございましたら注文&施工を代行します。(海外でもリモート作業が一般的ですが、海外の場合はケーブル購入&リモートセッティングを自分でやらなきゃいけないし会話が英語なのでハードルが高いです。)

こちらからオーダーを受け付けております。

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E46 M3 不満が消えるスロットルレスポンスチューン by Buildjournal

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