E46 INPAによるDSC(MK60)のメンテナンス操作
今回のコンテンツでは、E46 M3(他E46含む)のDSC(MK60)をメンテナンスする上で欠かせないINPAによるDSCモジュールの操作を記載しています。
先日あるオーナーさんからの問い合わせで、INPAでのエア抜き作業の見積を欲しいと依頼がありました。その後連絡が途絶えてしまったので、とりあえず操作方法だけでも残しておこうと思ってコンテンツにしました。
また、ある日突然DSCとギアとサイドブレーキのチェックランプがつく時は、ステアリングアングルセンサーのオフセットが狂った可能性もあります。
そんな時はステアリングアングルセンサーリセットを行えばいいのですが、これができるのはINPA OLDバージョンだけなのです。
なので画像はINPA OLDを元に作成しています。
※INPA OLDバージョンの入手は、現在ECUWORXでK+D CANケーブルを購入した際に入手できるツール一式に含まれているもののみ対応できることを確認しています。(AliExpressなどで購入できるケーブルに付属しているソフトでも可能かもしれませんが、こちらは確認していません。)
ですがエア抜きはどのバージョンでもできることは確認していて、画面もほとんど同じですので参考になるはずです。
エア抜き
このトップ画面は、INPAのバージョンによって表示される車両モデルが違いますね。このINPA OLDではキーボードのF3を押して、E46を選びます。
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すると、以下のようなウィンドウが現れるので、「Chassis」の「DSC MK60」を選びます。※MK20の場合は、ASC/DSC選びます。
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Main menuが表示されたら、F6のActivateを選びます。
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Activate画面は以下のようなメニューが表示されます。E46の場合、使用するメニューは以下だと思われます。
F1 list of valves/pump single test:DSCの内部にあるバルブリストを表示し、個別に動作させることができます。
F2 E46 ASC/DSC rework bleeding brake caliper FL/RL:右前と右後のブレーキキャリパーのエア抜きができます。
F3 E46 ASC/DSC rework bleeding brake caliper FR/RR:左前と左後のブレーキキャリパーのエア抜きができます。
SIFTを押しながらF1〜F4を押すと、画面の下にある通り、各ブレーキライン個別にエア抜きできます。
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試しにF1を選択してみると、下の画像のようにDSC内部のバルブリストが表示されます。項目を選んでOKをクリックすると動作します。
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続いてF2またはF3を選択すると、以下のように”80%の力でブレーキを踏んでください”とコメントが出るので、この状態でブレーキを踏むとガガガガガ!と音がします。
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ステアリングアングルセンサーリセット
写真のように、チェックランプはDSC、サイドブレーキ、ギアマークが点灯しています。(ウィンドウォッシャーは放っておいてくださいw)
エラーメッセージを読むと"5E40 Lenkwinkel Sensor Signal uplausibal, Offset"
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”ステアリング角センサー信号がありえない” と出ています。
INPAでデータログを見てみると、オフセットがおかしな数字になっていますね。(下の画像の左上、”offset Steering angle”となっている所です。赤が許容範囲外で、緑が許容範囲内です。ヨーレートのオフセットが怪しいですね。あとで調整したほうが良さそうです。)
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Main menuに戻って、Shift+F4 compensation routinesを押します。
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F1 compensation Steering angle/initialisation VIN-Nrを押します。これ、INPA OLDじゃないバージョンだと項目がありません。
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実行された後、初期化が完了しました、とメッセージが出ます。
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最後にステアリングセンサーのオフセットを確認すると、正常な範囲にあります。
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参考:ブレーキフルード交換キット(画像をタップまたはクリックするとTurner motorsportsの購入ページへジャンプします。)
