これがないとまともな仕事ができない万能ツール | Launch x431 モデルセレクトガイド
中古車ディーラーさんや自動車整備工場さんから、F系の中古モジュールリプログラミングや再コーディング対応をするのに、どのような診断機を選べば良いか相談を受けます。
最もシェアの高いAutelや新興のxtoolと比べて、コストと使いやすさ信頼性のバランス、2年のライセンスが切れてもコーディングやプログラミングが使える(と謳われている)Launch x431を僕は選んでいます。
※機能はどのメーカーもどんぐりの背比べなので、どのメーカーを選ぶかは好みだと思ってます。
代理店さんの値段を見ると高く感じ、AliexpressやAmazonなどで見ると2/3ほどの値段なので自分で選んで買おうかなと思ってる方も多いはずです。
ですが、グレードがありすぎて、どのモデルを選べば良いかわからないというのがおそらくみなさんの大きな悩みだと思います。
年々高くなる新品モジュール費用。中古モジュールにしようにもプログラミングが必要かどうかも分からなし、プログラミングしようにも業者が見つからない、見つかっても高い?など、低コストでモジュールの修理ができるよう、自前化を検討されている方も多いはずです。
しかし、製品カタログからだと、説明のリズムは良いものの日本語でも何が語られてるかよく分からないというのも共通の悩みだと思います。
問い合わせても返ってこないメールに何度ヤキモキしたか..
ここを間違わずにチョイスしてくれるのが代理店さんのメリットだと思います。
だとしても、少しでも費用を抑えたくて自分でモデルを選んで自分で購入したいと考えている方のためにまとめたのがこのコンテンツです。
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基本
ざっくりとLaunch X431などのツールがプログラミング対応しているのは2008年以降の輸輸入車です。そして対応しているモデルは"ECUのプログラミング"ができると謳われていることが必須です。(2008年以降というのは経験に基づく感覚的な線引きです。E系第二世代である概ねE90以降の車種です。最近の国産車も対応するようになりました。)
診断やキャリブレーションだけなら1996年以降です。
しかし怖いのは、"ECUプログラミングができるツール"という表現にはいくつもの意味が含まれていて、この言葉に含まれる機能は機種によって異なるということです。
さらに現在は、ECUという言葉はエンジンコントロールユニットだけを指す言葉ではありません。
ECUとは、エンジン含むトランスミッションやメーターパネル、ライト、ナビ、エアコンなどなど、様々なコンピュータの総称になっています。
おそらく、皆さんが問題だと感じているのは、モジュールごとASSY交換することが多く、交換しても機能しないことだと思います。
これを機能させるには、再コーディングか再プログラミングが必要です。診断機のカタログは、この2つの機能がECUプログラミングという一言で表現されてしまっていることです。
さらに問題を感じていると思われるのが、この”ECUプログラミング”を行えるツールや操作方法がわからないということだと思います。
おそらくこのコンテンツにたどり着いた方は、Launch x431なら全てができるかもしれないと期待を持った方ではないでしょうか。
しかし、製品説明を見ても機種が多く、また製品ガイドを見ても何ができるか分からないという方だと想定しています。
このコンテンツは、このような問題を抱えている独立系自動車整備工場さんや中古車販売店さんがお客様の要望に十分に応えられる可能性を引き上げる為に作成しました。
目次
Launch x431のECUプログラミングの概要
"ECUプログラミング"は車種、世代、モデル、年式、モジュール(エンジン、トランスミッション、メーターパネル、ライト、ナビ、エアコンなどのコンピュータ)によってプログラミングに必要な通信プロトコルが異なります。
以下の3つが主な”ECUプログラミング”の分類です。
- ECUコーディング
- ECUプログラミング
- IMMOプログラミング
これらをLaunch x431で行うには、モデル名で選ぶよりはセットになっているモジュール(DBSCar VII、SmartlinkC、Smartbox、X-prog3)で選ぶ必要があります。
以降でその詳細を説明しています。
ECUコーディング
機能: ECUコーディングは、車両の電子制御ユニット(ECU)の設定を変更する作業です。Launch x431 を使用すると、以下の様な変更が可能です。
機能の有効化/無効化: 例えば、デイタイムランニングライトのオン/オフ、自動ロック機能など一つ一つを調整します。
機能のリセット: 工場出荷時の状態に戻します。
改造(レトロフィット): 車両オーダーに基づき機能を設定を全体的に置き換えます。
必要な通信プロトコル: ECUコーディングには、主に以下のプロトコルが使用されます。
CAN (Controller Area Network): 車両内のECU間の通信に使用される、高速で信頼性の高いプロトコルです。
DoIP (Diagnostics over Internet Protocol): イーサネットを介して診断を行うためのプロトコルで、より高速なデータ転送が可能です。
対応しているLaunchモジュール:
- DBSCar VII
- Smartlink C
- Smartbox
ECUプログラミング
機能: ECUプログラミングは、ECUのファームウェア(ソフトウェア)を更新する作業です。
バージョンアップ: メーカーが新しい機能を追加した場合、ECUプログラミングでその機能を有効化できます。
リプログラミング: ECUのソフトウェアにバグが見つかった場合、ECUプログラミングで修正プログラムを適用します。
プログラミング: メーカーがECUの性能を向上させるアップデートを提供した場合、ECUプログラミングで適用できます。
必要な通信プロトコル: ECUプログラミングには、ECUコーディングと同様のプロトコル(CAN、DoIP)に加えて、以下のプロトコルが必要になる場合があります。
J2534: ECUプログラミングのための標準的なインターフェースで、さまざまなメーカーの車両のプログラミング(再フラッシュ)に対応できます。
対応しているLaunchモジュール:
- Smartlink C
- Smartbox
IMMOプログラミング
機能: IMMO(イモビライザー)プログラミングは、車両の盗難防止システムであるイモビライザーのキー登録や設定変更を行う作業です。一般的にIMMOという言葉はキー=”鍵”の追加や削除の意味が商品説明などで強く出ていますが、エンジンコンピュータ、トランスミッションコンピュータ、セントラルゲートウェイなどに書き込まれている盗難防止キーのバックアップや復元、リセットなども含まれています。
キー情報のバックアップ: 現在装着されているコンピュータのキー情報をバックアップします。
キー情報の復元: バックアップしたキー情報を交換したコンピュータに復元します。
キー情報のリセット: 中古のコンピュータなど、すでにキー情報が書き込まれている場合、上書きできな場合があります。その場合リセットして新たにキー情報を書き込める様にします。
必要な通信プロトコル: IMMOプログラミングには、車両メーカー独自のセキュリティプロトコルが使用されます。Launch x431 は、これらのプロトコルに対応するためのソフトウェアを提供しています。
対応しているLaunchモジュール:
- X-Prog3
- SmartLinkCとSmartboxの違い
SmartLinkCとSmartBoxとは
SmartLinkCはネットワークを経由して工場外のプロフェッショナルからのサポートを受けること、また複数の工場の技術支援を行うことを目的としています。一方SmartBoxは一つの工場内で作業を完結することを目的としており、ネットワーク対応機能がないモデルです。
前者は、フランチャイズ展開しているような中規模以上の事業者が、幾つもの工場の技術支援を行うようなケースで効果を発揮します。これは自動車コンピューター技術のプロフェッショナル育成が難しい昨今で、本店の技術者が他店の工場を助けるのに威力を発揮します。
後者は、1つの工場内でのみ整備を行っている事業者向けです。ネットワーク対応してないからといって、外部のプロフェッショナルにサポートを受けられないわけではありません。Launch x431にプリインストールされているQuickSupport(TeamViewer)を使えばどこからでもサポートを受けられます。
SmartLinkCを備えた機種を採用するメリットは、自社ブランドをフランチャイズ展開したり、診断/プログラミングサポートに特化したサービスの展開を考える場合にあります。それは、Launch x431本体1つに対して幾つものSmartLinkCを関連付けられるため、本体の導入費用と技術者の採用/育成/配置などの費用を抑えられるからです。
DBSCar VIIモジュールを選ぶ意味
例えばBMWを例に挙げると、ECUプログラミング(再フラッシュ)を行うのであれば、E-SYSを使うのが一番です。E-SYSを使いこなせる小規模事業者であれば、必ずしもLaunch x431でECUプログラミングを行う必要はないかもしれません。
しかし、E-SYSはIMMOプログラミングは対応していません。(できるのかもしれませんが、設定が非常に難しくこれを実際にできる人はあまり見たことがありません。)
今まで、IMMOプログラミングのみ外注していた場合、IMMOプログラミング機能を備えた機種の導入は利益率アップに貢献するかもしれません。
Launch x431でECUプログラミングを行うメリット
これもBMWを例にすると、E-SYSでプログラミングを行う場合、PSdZデータという車両プログラミングデータを自身で用意する必要があります。これらのデータはトークン発行プロバイダー(E-SYS Ultraなど)から最新版が提供されるので、最新車両のプログラミングを行う上では問題はありません。
しかし、古いモデル(2008〜2015頃)のデータ手に入らず、この年代モデルのクラッシュしたコンピューターが復旧できないケースもあります。E-SYSによるプログラミング基盤が整備されたのは比較的最近であり、古いモデルのPSdZデータは自分で探さなければならず見つからないケースもあります。PSdZデーは一つのパッケージで300GB前後の容量がある為、個人での管理も簡単ではありません。
そんな時、Launch x431であればオンラインで必要なプログラミングデータを都度ダウンロードして使用することができます。